ニンニクだけは入っております。
意外と、美味しい。
写真と紀行文
ニンニクだけは入っております。
意外と、美味しい。
もう限界だ。腹が減りすぎた。
ホテルで朝食を食べないで、思いつきでフェリーに乗ったのは失敗だった。きっと、港に着けば食堂ぐらいはあると思ったのだ。だが、唯一の食堂は「休業中」の看板。空腹を騙し騙し、観光中。
醤油博物館では、醤油の小瓶を渡された。これは食えない。失敗した、もっと何か食い物がありそうな所に行けば良かった。でも、他の選択肢は「オリーブ園」だった。だめだ、油だ。
醤油博物館を出ると、売店でしょうゆソフトクリームを売っている。微妙、こればっかりはパスだな。普通のソフトクリームは?無いみたい。
肉が余ったので、というと嘘くさいが、本当に安いステーキ肉があまったので、一気に二枚焼いてみる。
日本酒を振りかけて、海塩と胡椒をして放置。その間に、サラダをつくる。何が何でもトマトが好きで、冬場にこれほどお買い得感のない野菜もないけれ ど、つい入れてしまう。青物はワサビ菜。ワサビのぴりっとした風味がするチシャみたいな葉物で、旬はよく分からないが一年中出ている。
オリーブオイル、ごま油、海塩、酢、胡椒、醤油あたりをグルグル混ぜてドレッシングを作っていると、下ごしらえした肉もよい頃合いになっている。
僕が気に入っているリバーライトのフライパンは鉄のちゃんとしたフライパンで、安い。それを煙が出るまで、カンカンに熱して、オリーブオイルを(ホントは高温で使ったらダメなんだけど)馴染ませたら肉を放り込む。
こういう時には、柳宗理の穴あきパスタトングが、最高に便利。なんでも器用に掴めて、洗うのも楽で清潔。菜箸がわりに、あらゆる用途で使っている。 肉は、強火で、蓋をして片面 1分、ひっくり返して、蓋をして反対側 1分。フライパンが暖まっていれば、肉はくっついたりしない。
お皿に肉をあげて、フライパンに残ったいかにも体に悪そうな肉汁に、醤油、酒、チューブのニンニク(これは手間を惜しんで妥協してしまった)を投入して焦げ目を剥がすようにグルグル混ぜる。甘い匂いが立ち上ったらジュッと肉にかけてできあがり。これで、700円ぐらいなもんだから、オージービーフっ て凄い安いな。
日曜日の昼飯に、えらく重たいものを作ってしまった。南の空に浮かぶ、とりどりの冬の雲を見ながら、食べる。まあ、平和な午後。そういえば、季節はずれな近所の風鈴の音は、いつの間にか聞こえなくなっている。