赤いウクライナ(Червона Украина)

赤いウクライナ(Червона Украина)

Photo: “Червона Украина.” 2017. Vladivostok, Russia, Fujifilm X-Pro2, Fujifilm M Mount Adaptor + Carl Zeiss Biogon T*2,8/28 ZM, ACROS+Ye filter

今朝のニュースで、巡洋艦モスクワが曳航中に沈没した、というロシア側の発表が伝えられ、黒海艦隊旗艦の喪失が確定された。たまたま戦闘行動中に艦内で火災が起こって何故か弾薬に誘爆して総員退艦して波の高さ1メートルの嵐の中で曳航中に沈んだ、というインターファクス通信の報道を信じている人はさすがに居ないようだ、と後世への記録として書いておく。両舷側に対艦ミサイル発射管を並べた、素人目にも分かるモスクワの凶暴な外観はスラヴァ級ミサイル巡洋艦。ウラジオストクで見たヴァリャークはその姉妹艦だ。


ウラジオストクの軍港は、意外と近くまで立ち入ることができて、ロシア太平洋艦隊司令部の門の前を歩くことも出来る。軍港東側の記念公園的な所に停泊している古い船から、向かいの桟橋に停泊する太平洋艦隊旗艦ヴァリャークを間近で望むこともできる。意外とカジュアルなのね、という事に、驚く。

今、改めて調べてみると、ヴァリャークはもともとソ連支配下のウクライナで「チェルヴォナ・ウクライナ(赤いウクライナ)」の艦名で建造されたものだという。それがソ連崩壊とともに、ロシア海軍に編入され、艦名もヴァリャークに変更された。ふと考えると、日本海に、今朝黒海で沈んだ艦の同型艦が、同じ軍の管轄で、浮かんでいるという冷徹な現実に思い当たりもする。


世界に、法と秩序はもともと存在しない、自らの力でそれを創り出し守るしかない、ことを日々思い知らされていると感じる。そんな中で防寒迷彩服などの自衛隊装備が、ウクライナの人々に使われているのを見ると、日本も枠組みの中で思ったよりも動けているなと思う。非殺傷兵器のカテゴリで日本の過去の経験を活かすのであれば、サリン特効薬のプラリドキシム(PAM)の供与というのも考えられる。もっとも、日本がそれを必要とする事態も想定して、そもそもの備蓄を増やす、というのもセットになるだろう。

更に言えば、日本の工業力を活かして、もっと踏み込んだ正面装備の供給も考えるべきだとは思う。だからといって、「アタレ」と書かれたアサルトライフルや、山地に向いた車高調整可能なMBTを供与されても、それはそれで平原のウクライナ兵は困るだろう。そうなると、対MBT/IFV兵器としても、復興のためにも使えるトラクターとかが良いかもしれない。

プーチンカレンダー

Photo: “Putin calendar 2019.”

Photo: “Putin calendar 2019.” 2018. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

今回もまた、プーチンカレンダーを頂くことができた。無事にプーチンカレンダーをかけて、新年をはじめることができた。

「魔除」になるとの噂もあるこのカレンダー、Loftでも買えるのだが輸出版と国内版では写真のセレクションやフォームファクタがだいぶ違う。当然、国内版の方がマニアックな仕上がりとなっている。今年の表紙は、動物好きをアピールする猫(大きめ)との2ショットか。

毎年、誰かがモスクワを訪れ、誰かがカレンダーを買ってきてくれる所を見ると、やはり、ロシアは「きて」いるんじゃないかと思う。


去年は、駐ロシア武官・文官、駐在員、留学生から成る、ロシアクラスタなるものが、存在することを知った年だった。

「え、赤の広場のインツーリスト無くなっちゃったんですか?」「今は、リッツカールトンになってますよ、、」
「ほら、なんでしたっけ、あそこの和食屋さんのお弁当ね、ロシアでは珍しく時間通りに届けてくれて」「そうそう、でも先生気が短いから、弁当はまだかーって」

もう会話が濃すぎて、何言ってるのか分からないけど、カレンダーに写った黒服でびしょ濡れのプーチンの説明をしたら、ちょっと感心されたので得意な気分。


羊ページは23年目です。今年は、書いたものはちゃんとタイムリーにアップしようと思います。。

ロシア軍用犬とカワイイ

Photo: "A dog."

Photo: “A dog.” 2017. Vladivostok, Russia, Apple iPhone 6S.

ボンバルディアのタラップを降りると、むわっとした暑さを感じた。ウラジオストクに降り立って、一番最初に感じたのは、暑い、という事だった。滑走路の端に目を移すと、上空から柔らかな牧草のようにも見えた緑の絨毯は、巨大なセイタカアワダチソウのような謎植物だった。

そして、次に目に入ったのは、濃紺の制服に身を包んだ女性ドッグ・ハンドラーと、側らに座る山羊みたいな大きさのジャーマン・シェパード・ドッグつまり K9。かなり離れたところからこちらを注視しているが、命令があれば時速30km/hでアプローチされ、秒殺される確信。これが、真のおそロシアか。


基本、マッチョに溢れたこの国の実際は、最初のシェパードで抱いた印象である「おそロシア」の通りだった。テストステロン溢れるヒグマみたいなロシア人。そんなステレオタイプは実際、その通りだった。この国には、「カワイイ」みたいな概念は多分無い。ひたすら実用的で無骨。もちろん、街角にカワイイ要素なんて何にも無いのだ。

宿の隣の24時間スーパーが便利で、別に用は無くても毎日通っていた。ある夜、入り口に繋がれた犬。飼い主を待っているけれど、僕に尻尾を振ってくれた。かのK9と同じ種とは思えない、初めて見つけた「カワイイ」。お前に会えて良かったよ。