綿毛

Photo: 綿毛 2006. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: “綿毛” 2006. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

ドラえもんで、忘れられないエピソードというのは幾つかあって。

植物が人間みたいに見えるゴーグルのお話。そのゴーグルを通してみると、植物が交わす言葉を聴いたり、表情を見たりすることができる。

のび太が裏庭の片隅に見つけたタンポポを、そのゴーグルを通して見守る、ちょっと珍しいエピソード。その物語の最後に、タンポポの子供たちが、綿毛になって飛んでいくシーンがある。

兄弟達は風に乗って旅だったのに、一人だけ怖がって飛び立てない子供がいる。タンポポのお母さんは、自分が風に乗って旅した頃の事を話して聞かせ、旅と未来の素晴らしさについて教える。そうして、明け方、ついに最後の子が風に乗って飛び立つ。


いつまでも寒かった今年は、気がつくと黄色いタンポポが一面に咲いていた。その黄色を楽しむ間も短く、花はあっという間に綿毛になって、飛んでいく。

綿毛がなくなって、すっかり丸坊主になったタンポポを見ると、いつも、その話を思い出す。旅立ちの物語が、こんな小さな場所でも繰り返されていることを、思い出す。

素敵な、物語だったんだなと思う。

見た目じゃ全然分からない

Photo: 苺狩りハウス 2006. Izu, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

Photo: "苺狩りハウス" 2006. Izu, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

苺狩りの季節。

最近のは、高いところに棚があって、腰とか全然痛くならない。なんて、知った風に言っているけれど、実は苺狩りは生まれて初めて。

清潔で、土の匂いはしないのに、植物の匂いで満ちている。ハウスの中は、不思議な工場みたいな場所だった。


練乳を使い果たす人、50個以上食べる人、アレルギー発症の限界スレスレに挑戦する人。

それにしても、見た目ではどれがウマイんだかちっとも分からない。赤くても、大きくても、形が良くても、それでも分からない。これはもう、カンを研ぎ澄ますしかないみたい。