コート

それでも朝は来る。
来てしまうし、来てくれる。フェア、確かにフェアだ。

寝覚めの悪い夢を見て、いささかの気恥ずかしさとともに目を覚ます。うつうつらして、夢のつづきを少し見て、大した慰めにもならずに布団から身を剥がし、ゴミを捨てにいく。
型遅れになったバーバリーのコートを捨てたものかどうか、もう1ヶ月も俺は悩んでいる。捨てるべきじゃないのか?

結局、コートは捨てずにクリーニングに出して、少しキリッとして戻ってきた。濃紺のコートは、ほどなく通夜に参列した自分には、役に立った。

羊の皿を割った

羊の皿を割った。羊の柄が付いていたので、友達がくれたものだ。
コンビニか何かの景品だったと思う。二枚で一組。

一枚は震災の日に壊れた。残された一枚は、なんとなく寂しげだったから、それはそれでいいのかもしれないと思った。