ニセ味の素

Photo: “Ajinomoto 1kg at Thailand.”

Photo: “Ajinomoto 1kg at Thailand.” 2022. Thailand, Apple iPhone XS max.

タイで、偽の味の素を作って荒稼ぎした夫婦が捕まった、というニュースが流れていた。偽の味の素ビニール袋パッケージをつくって、自宅で別の何かを詰めていたのだ。

なるほど、そんな商売もあるのか。


そう素直に思ったのは、バンコクでキログラム単位で売られている味の素を見ていたから。日本で考えたら、味の素はkg単位の袋詰めでバンバン買うようなものでは無い。しかし、タイでよく見るスーパーであるところのビッグCの調味料コーナーにはひと棚まるごと1kg味の素が陳列されており、よく見れば、街中のコンビニの棚にさえ500gは入っていそうな味の素が、スプーン印の砂糖並みのカジュアルさで陳列。

アル中カラカラ氏の、味の素使い切り動画に感じた戦慄はしかし、国境を越えればまた尺度が根本的に変わってしまうのだと、そんな風に自分の中で繋がったのだった。

ルームサービスのハンバーガー

Photo: “I ordered Hamburger.”

Photo: “I ordered Hamburger.” 2022. Thailand, Apple iPhone XS max.

パンデミックで海外に出られなくなって2年以上。ANAで訪れた数年ぶりのタイ、バンコクは、まぁ少し静かになったなぐらいで、相変わらずの蒸し暑い、ごみごみした都市だった。この街で、今さら試したい新しいこと、というのは取り立ててない。

ナナプラザとか、そういう場所に行く趣味は無いし、ブランド品を漁りたくもない。いずれにしても、出張でしかこの街に来たことは無いのだ。


蒸し蒸しした、夜の街に出る気もちょっと無くて、ルームサービスを取ることにする。せっかくの海外で、ホテルの食事なんて、と昔は思ったけれど、新しさの選択肢というのは確かに年月を経ると減ってくるし、快適さを取りたい気分は増えてくる。ちなみに円安とは言っても、タイの食事というのはやはり割安感があって、ルームサービスの値段で、日本の普通の外食メニューと同じくらいだ。グラスフェッドのビーフハンバーガーとコーラを頼むことにする。


大きなトレイに皿を載せてやって来たスタッフは、存外さっと居なくなってしまって、そう言えばチップを渡すのを忘れた。

バッサバサのチキンとベーコンで、あまり味が無い。サンドイッチに塩を振りかけるって、やったことはないが。付け合わせのポテトは冷食自販機で出てきそうな味だが、まぁ、ケチャップを付ければ食べられるんじゃないだろうか。缶のコーラを、たっぷり氷が入ったタンブラーに注ぐ。夜景を眺めながら、モソモソと食べる。べつに美味くないが、楽で良い。

っていうか、僕が頼んだのはハンバーガーじゃ無かったんだっけ。。
ハンバーガーはサンドイッチ問題があるのだろうか?いや、ハンバーガーと頼んでサンドイッチは違うだろ)

スナック しがらみ

Japanese Snack in Thailand.

Photo: “Japanese Snack in Thailand.” 2017. Thailand, Apple iPhone 6S.

「しがらみ」それが、店の名前。人生のしがらみは、実にここバンコクにまで、しみ出しているようだ。


ゴミゴミしたソイの奥の方、3階建てのビル。1階が日式の居酒屋「みちづれ」で2階は謎、3階がスナック「しがらみ」。スナックは、別にいい。ソイに溢れる熱気と喧噪にウンザリした我々には、普通の居酒屋で十分じゃないか。いや、普通の居酒屋がいいんじゃないか。

店は意外にも奥に広くて、鮨屋のような長いカウンターまである。座ると、ネタケースに転がる、目が充血しきった鯵のような鯉のような地魚と目が合う、この店で生ものは無理だ。


メニューには、親子丼とか、牛丼とか、ベーコンエッグ丼とか、うな丼とか、居酒屋らしからぬものも並ぶ。注文したら本当に出てくるんだろうか。恐ろしく暇そうな店員が、近くの席に座ってくる。連れの一人が旅行ガイドを手に、カタコトのタイ語を操って女性店員に話しかけるのはまあ、良いとして、店員の視線がだんだん怪しくなってきているのは気のせいか。

ちなみに、3階のスナックを見せてよ、と言うとホールに居た女の子達がゾロゾロと着いてくる。つまり、1階の居酒屋みちづれも、3階のスナックしがらみも、スタッフは全く同じであり、出てくる酒も同じであり、スナックと言いながら日本語は全く通じないし英語も無理でタイ語ができないと会話不能、というすさまじい業態であることが判明した。

※しかし、その価格の安さと静けさから、連日この店に行くことになった。業態に怪しさは無いので、女性も安心。と言うことは、あの店員の怪しい視線はより深刻な意味を持っていたのかもしれない。