サーファーに貝を貰う

Photo: plain-pasta 2010. Tokyo, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

Photo: “sleeping seeshell” 2010. Tokyo, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

サーファーに貝を貰った。

元々飲む約束をしていた、友人のサーファーが、ビヤバーのカウンターにおもむろに瓶にみっしり詰まった何かを出したときには、にわかにその正体は分からなかった。

「今日は、暮らしに彩りを添える、ちょっとした生(い)きものをお土産に持ってきた」

と言うので、何?育てる系?と勘違いしたのだが、どうやら貝を育てろ、ということではなく、美味しく調理して一杯やってくれということらしい。


そのサーファーは例えば、「俺はトイレットペーパーで拭いても、確認などしない」などと、常日頃から言い切るならず者であり、どうやってこの貝を入手したのか懸念したが、ちゃんと採って良い場所で採集してきたものだそうだ。

それにしても、貝ほど調理するときに、一抹の憐憫を感じてしまう素材もない。今日は良さそうなアサリがあるな、などと高いテンションで買ってきても、砂を吐かせているうちに、なんとなく目が合うと(目は無いが)、熱したフライパンの中に放り込む気力が10%程減衰する。

それでも、家で飼える類のものではない(ないよね?飼えるもの?)ので、ザラッとオリーブオイルに放り込めば、数分で美味しくなってしまうのではあるが。


さて、今朝程から塩水の中で息を潜めているこれらの貝。アサリっぽいが、平貝というらしい。(名前が、でかいムール貝みたいな平貝とまぎらわしい)一個だけでかいのは蛤。

味は格別とのことなので、トマトソースまみれにしてパスタにかけるのも気が引ける。さて、どう調理しよう?

俺レシピ オージービーフ 300g

Photo: オージービーフ 300g 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

Photo: "オージービーフ 300g" 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

肉が余ったので、というと嘘くさいが、本当に安いステーキ肉があまったので、一気に二枚焼いてみる。

日本酒を振りかけて、海塩と胡椒をして放置。その間に、サラダをつくる。何が何でもトマトが好きで、冬場にこれほどお買い得感のない野菜もないけれ ど、つい入れてしまう。青物はワサビ菜。ワサビのぴりっとした風味がするチシャみたいな葉物で、旬はよく分からないが一年中出ている。

オリーブオイル、ごま油、海塩、酢、胡椒、醤油あたりをグルグル混ぜてドレッシングを作っていると、下ごしらえした肉もよい頃合いになっている。


僕が気に入っているリバーライトのフライパンは鉄のちゃんとしたフライパンで、安い。それを煙が出るまで、カンカンに熱して、オリーブオイルを(ホントは高温で使ったらダメなんだけど)馴染ませたら肉を放り込む。

こういう時には、柳宗理の穴あきパスタトングが、最高に便利。なんでも器用に掴めて、洗うのも楽で清潔。菜箸がわりに、あらゆる用途で使っている。 肉は、強火で、蓋をして片面 1分、ひっくり返して、蓋をして反対側 1分。フライパンが暖まっていれば、肉はくっついたりしない。


お皿に肉をあげて、フライパンに残ったいかにも体に悪そうな肉汁に、醤油、酒、チューブのニンニク(これは手間を惜しんで妥協してしまった)を投入して焦げ目を剥がすようにグルグル混ぜる。甘い匂いが立ち上ったらジュッと肉にかけてできあがり。これで、700円ぐらいなもんだから、オージービーフっ て凄い安いな。

日曜日の昼飯に、えらく重たいものを作ってしまった。南の空に浮かぶ、とりどりの冬の雲を見ながら、食べる。まあ、平和な午後。そういえば、季節はずれな近所の風鈴の音は、いつの間にか聞こえなくなっている。

発芽玄米の自作

「地味めしダイエット」という本がある。この文体が嫌いな人にはとうてい受け入れられない本だと思うが(amazonの書評はかなりメタメタに書いてある)、根本的なアイディアがなかなか面白い。つまり、この本の根底に流れているテーマは「お前らは外で好き放題栄養のあるものを食ってるんだから、家では地味に飯と梅干しでも食べてろ。飢え死にはしない。」というようなことである。地味めしダイエット (知恵の森文庫)

逆に言うと、外食で栄養が偏っているから、というようなことで、たまの自宅での食事でフライトとかステーキとかガツガツ食うな、ということになる。そのなかで、「これは食って良し」という指定になっているのが発芽玄米だ。それも、ご飯に玄米を混ぜる、とかではなくて、発芽玄米だけを食え、という、極右マクロバイオティックである。

なんで、こういうことを書くかというと、友人が体重増加に悩んでいるらしいという情報が入ったためだ。筋トレ、ジョギング、ヨガ、怪しいDVD、ならまだしも、トランポリンで跳ね始めたということなので、そこまで追い詰められているのであれば、なんらかの方策を考えなければなるまい。ということで、今日は発芽玄米の作り方。

■その1
まず、楽天で無農薬有機玄米を買います。まぁ、楽天じゃなくてもいいけど、楽だし、探せば結構手頃な値段で売っているので。農薬なんて気にしない、という人も居るかもしれないが、発芽玄米は文字通り玄米ごと炊いて食べるので、どれだけ意味があるかは知らないが無農薬にしとくべき。玄米が届いたら、最後の白米のご飯を炊いて別れを惜しみます。

■その2
では作成しましょう。炊いた発芽玄米は冷凍保存にも強いので、まとめ炊きがオススメ。炊飯器は最新式でフラグシップであれば、特に拘る必要はありません。なんか10万円ぐらいする炭素削りだし内釜とかだと最高ですね。俺は買わんが。まあ、鍋でも飯盒でも、なんでも米が炊けそうなデバイスを用意して下さい。まず、玄米を炊飯器の炊飯限界量まで入れ、水で軽く洗います。(研ぐ必要はない)そして、たっぷりの水を張ってゆるくラップし、そのまま1日放置します。(夏場は1日、冬場はもっとかかる場合もある。植物なので、気温次第)

■その3
1日ほったらかしておくと、甘い匂いがして、細かな気泡が上がってくるはずです。この甘い匂いが、なんとなく「腐ってるんじゃないのか?」という危惧を抱かせる匂いですが、発芽の際には匂いが出るものらしいので、気にしないようにします。米粒をよーく観察すると、胚のところが小さな角のように飛び出ているのが分かるはずです。これが、芽です。手でかき回してみて、7割ぐらい芽が出ているようであれば、OK。水を捨てて、良く洗います。(研ぐのではなく)

■その4
炊飯器にセットして、水は心持ち多め、炊飯器の米種に発芽玄米を指定し(なかったら買い換える、あきらめる、普通のモードで試してみる等々)普通に炊きあげます。

■その5
炊きあがった発芽玄米は、いつも食べているご飯の量よりも少なめによそります。食べてみるとわかりますが、発芽玄米100%のご飯は、きちんと噛まないと飲み込めないし、相当腹にたまります。残った分は、即ラップしてあら熱を取り、冷凍しましょう。この時の冷凍一人前は普通のご飯よりもやはり少なめが良いです。150gで普通のご飯一杯ぐらいの感覚、130g程度でも十分。ちなみに、サトウのご飯は一人前が200g入ってます。

■注意点
発芽玄米は明らかに合わない料理、というのがあります。炒飯なんかはもう、作る気がおきません。その代わり、ゆかりをかけたり、刻んだ大葉やゴマを混ぜ込んだりするとかなり合います。

発芽玄米の作り方には諸説あるのですが(もっと超面倒なやり方もある)、毎日続けるとなると面倒なやりかたは無理なので、試行錯誤の末にたどり着いた一番楽なやり方を掲載しました。芽は出てるし、まあ、これでもいいんじゃないかということで。

発芽させた状態で乾燥させた、発芽玄米が商品として売られていますが、えらい値段も高いし、自分でつくるのよりは新鮮さに劣りますから、自作してみることをオススメします。


人は所詮、口に入れたものだけで出来ている。だから、健康にしても、ダイエットにしても、美容にしても、何を食うか、に最も左右される。発芽玄米は文字通り、発芽する瞬間の植物を食べることになるので、炭水化物としての米だけではなくて、かなり色々な栄養をとれる。だから、食べていてあまり量を必要としない。おかずは漬け物だけ、というような地味めしでも、ちゃんとした食事になる。食べてみると、結構抵抗なく食べられてしまうと思うし、一度習慣になると、なんとなく普通のご飯だと落ち着かない感じになる。

んで、これが本当にダイエットになるのか?というとよく分からないが、口に入れるものを考えてみる、ということ、それも主食を変える、というのは、結構効果的な試みだと思う。

ちなみに、僕の場合、平日の昼夜がほぼ外食で週末は地味めし、という生活パターンだが、体重・体脂肪率は増えてない。(むしろ、なんとなく減ってる)