オコゼの頭

いちおう、忘年会というのが、ちらほらある。とはいっても、行きたい人だけが、行きたいところに行く、という極めてバラバラな感じの忘年会ではあるが。

この時期、よく頼むのがオコゼの唐揚。芳ばしくて美味いけど、あんまり食べるところがない。骨も太いし、なにより頭がでかい。見た目の割に、食べ応えの無いつまみだと思っていた。

が、オコゼの頭って丸ごと食べられるみたい。野生の勘は失っても、人間は動物。魚だって、丸ごと喰えないはずはない。ちゃんと二度揚げして出してくれる店なら、ポン酢につけて、頭からバリバリ食べられるというわけ。

このあいだ、「オコゼの頭は喰えますよ」と教えられて、存外に美味いことを知った。食わず嫌いだったか。

注1:オコゼ(虎魚)。口が開き気味、10センチ前後、ごっつい顔の魚が唐揚になって出てきたら、それはきっとオコゼだ。カサゴ科の魚で、海に棲んでいる。
注2:作者は、魚を昭和一桁世代のようにキレイに食べる習性があるので、中骨まで丸ごと食べたが、初心者は喉に骨を刺したりしないように、十分注意して欲しい。

出荷量がだぶつきみの豚肉

今年は、出荷量がだぶつきみの豚肉が、安いらしい。

そういうわけで、このあいだ、青山で昼飯を食べたときに、(青山っぽくはない代物ではあるが)なかなか美味しかった豚肉を使った料理をご紹介する。


材料:

豚ロース肉
大根
あさつき
小麦粉

キャベツ
ポン酢(市販のもので良い)

作り方:

  1. 豚のロースを、天麩羅にして揚げ、揚がったら一口大に切っておく。
  2. キャベツの千切りの上に、豚ロース肉の天麩羅をのせ、たっぷりの大根おろし、刻んだあさつきをのせる。
  3. 食べる直前にポン酢をたっぷりかける。
  4. 出来上がり。超簡単。

* あさつきがなくても、喰えないことはない


サクサク感の残る衣に、ポン酢のしみた大根おろしがなんともさっぱりしている。

自宅でやると、どうしても揚げ時間が長くなるため、いきおい衣がフリッターのようになりがちだ。(事実、なった)それでも、見た目の割に、美味しくできあがる。

注意点としては、出来上がりの見た目は、あまり美味しそうではないので、途中で諦めずに、ぜひ味わって確かめて欲しい。

注:作者は無類の「ポン酢好き」なので、その分を割り引いて読んでいただきたい。

焼きイモ屋

寒い季節に生まれた羊ページの作者は、最近、誕生日を迎えた。年齢を重ねる毎に、少しだけ思いを馳せるのは、自分がここまで積み重ねたもののこと。そして、他の人たちが、同じように積み重ねるもののこと。

人は、その短い一生の中で、自分なりの歴史と経験を積み上げ、自分のカタチをつくっている。それを変えようとすることは、その人の内面を、深く否定することに繋がりかねない。カタチは、結果にすぎない。

だから人は、そんなには変われないと、僕は思う。変わりたい、あるいは、変わって欲しいと願っても、裏切られることは多い。特に、自分が変わって欲 しいと願った人に、裏切られることは、辛い。実は、誰かが誰かを裏切るわけではない。心の中に生まれた希望が、現実の固まりの中で、砕け、失望に変わるだ けのことだ。それでも、そうして生まれた失望が、とても苦いことに変わりはない。

考えてみれば、自分自身が変わることも難しいのに、他人に変われと期待すること自体、おこがましいのかもしれない。現実の世界ではむしろ、そうした 「変われないもの同士」に、どう折り合いをつけ、どう受け入れるのかが大切なのだろう。そのステップを越えることができれば、その先で少しだけ変わること が出来るかもしれない。
「かもしれない」だけだが、それが、希望だ。


この前聞いた、焼きイモ屋のアナウンス。
「甘くて美味しい石焼きイモが 1,000円で 3本以上の安心価格、一本からでも承っております。」

最近の焼きイモ屋は一味違う。昔、焼きイモ屋の掛け声と言えば、「ほっかほか」だとか、「とにかく、ほーっかほか」だとか、そういうお決まりの文句 だった。そして、いざ買ってみると、やけに高い値段を吹っかけられたりしたものだ。その焼きイモ屋が、具体的な値段でアピールするなんて、驚きだ。不況の 時代、焼きイモ屋も変わった。

買ってみれば、値段はともかく、イモは相変わらず水っぽい。所詮は、そんなものだ。それでも、今度こそはと思って買ってみる。それも、希望、と言うのかもしれない。焼きイモ屋だって変わるのだ。

注:実際は、作者は焼きイモがあまり好きではない。