East China Sea

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

ここに掲載する一連の写真は、僕がまだ学生の時に撮ったものだ。

1995年晩夏。僕は台湾に渡った。おりしも、台湾初の総統選挙や、沖縄のレイプ事件に端を発する、日米安全保障条約に関する議論などに、大きな関心が寄せられていた時期。歴史がつくられていく瞬間にいるのだ、という気持ち。

台北までは、那覇からジェット機で 1時間程度。沈む夕日と追いかけっこになる。ボーイング 737 の窓から写す。夕日を受けて、海が飴色に輝く。

台北市内

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

台北市内の裏路地。

市内は、いかにもアジアの下町を感じさせる雑居ビルが建つ。下は商店で、上の階に人が住んでいるといった感じ。台湾は日本と同じ島国で、山地も多い ため、必然的に都市の住宅事情は過密になる。台北市内の道路事情も東京と似たようなもので、朝夕の通勤ラッシュに巻き込まれると、全く車が動かなくなって しまう。

看板は漢字なので(英語はない)、なんとなく意味は分かる。見た目になんとなくゴミゴミしているのは、日本と同じで電線が地上に露出しているせいだろうか。

台湾というと、Acerなどコンピュータのコンポーネントを生産する企業がひしめく、アジアのハイテク下請け工場地帯のようなイメージがあるが、街 を歩いている限りでは、ハイテク製品は見かけない。せいぜい、半分閉まったようなスポーツ用品店に、ウィルソンのテニス・ラケット(カーボンファイバで作 られるテニス・ラケットは一種のハイテクだ、そして、テニス・ラケットは大半が台湾製だ)を見かけたぐらいだ。大半が、海外輸出に回されているのだろう。


湿った空気や、どことなく緊張感のない風情は、日本と比べて、あまり違和感を感じない。治安の目安になる警官の数も、あまり多くなく、市街地の治安 は良いようだ。もっとも、つい最近まで、ホテルに盗聴器などがあっても当たり前、という国だったそうだから別の意味で怖いかもしれない。

韓国の旅をふり返る

韓国の旅を振り返ってみる。

韓国は何だったか、と言えば、やはり食べ物だ。食事のよさでは、アジア圏では筆頭。(もちろん、僕は日本食が一番美味しいと思っているが)そして、韓国の食べ物と言えば、牛肉とキムチだ。

実は、韓国に行く前に、昔1ヶ月間韓国でソフトの開発をやったことのある先輩から「韓国は何でもキムチだ」と言われていて、「んなアホな」と思わないこともなかったのだが、行ってみたら本当にキムチだった。


まずは焼肉から考えてみよう。(考えるほどのことでもないが)韓国と言えば焼肉というイメージだが、これは確かにそうだ。韓国人が毎日焼肉を食っているわけではもちろんないが、焼き肉は旨い。というよりも、牛肉が(安いやつも、高いやつも)根本的に美味しいのである。

一口に牛肉といっても、国によって味の方向性は違う。例えば、日本の牛肉はわりと脂っこくて、半生ぐらいで食べるのが良い。悪名高いアメリカの牛肉は、どう調理しても味も脂も感じられないし、レアで食べてもどのみち固い。それに比べて、フランスの牛肉は、とにかく固いが、いちおう脂はある。ドイツの 牛肉はただの炭で、ああ、ソーセージにすればよかった、と後悔しつづけるような代物だ。別に、世界の牛肉を食べ尽くしている訳ではぜんぜんないが、少なくとも、和牛よりも美味しい牛肉なんて、僕は食べたことがなかった。

しかし、韓国の牛肉は、もしかしたら和牛よりも美味しいかもしれない。脂はあまりないし、食感が柔らかいわけではない。しかし、プリプリした歯ごたえと、肉の味の濃さが確かにある。そして、焼きすぎても(韓国の肉料理は、往々にして焼きすぎだ)、冷めても、そのプリプリ感は失われず、全然美味しいの だ。肉自体の脂が少ないから、焼肉にしても、日本で食べるよりも沢山食べられる(食べてしまう、というべきか)少なくとも、僕はあんまりしつこいのは嫌いだから、個人的には韓国牛の方が好きかもしれない。


で、次にキムチだが、これは日本の御新香、、ではなさそうだ。それは、おかずであり、味の傾向の基本であり、そして御新香の役割もある。韓国で何か食べると、小ぶりな平皿にキムチを入れたものが数種類は付いてくる。

(余談になるが、地球上でなりたくない職業の一つは、間違いなく韓国の皿洗いだ。ここの人たちは、驚くほど皿を景気良く使う。盛り合わせるぐらいなら、皿を分ける、というのが基本らしい。これは、別に高級な店に限ったことではない。大韓航空の機内食だって、街の500円ぐらいの定食屋だって同じだ。 まあ、キムチをごちゃまぜに出したりしたらまずいので、必然的に皿が多くなるのだろう。)

よく韓国のキムチは種類が豊富だと言うが、これに関しては僕にはよく分からない。なぜなら、韓国料理の味付けの基本は唐辛子。唐辛子で真っ赤に染まった野菜や肉は、いったいどこまでがキムチなのか、その境界が分からない。だから、日本人からみると、みんながみんな唐辛子味、つまりキムチ味なのだ。 だから、朝も昼も、夜も、キムチを食っているような気になってしまう。あぁー、もうキムチはいらない。しばらくするとそんな気になったりもする。

僕は食べなかったが、南大門の市場のあたりを歩いていると、昼時には店先で出前の定食を食べている人がけっこう多かった。出前は、長方形の金属製の お盆に料理を載せ、それをいくつか重ねた状態で、若い出前係りが手で運ぶ。ごちゃ混ぜの露天と、それに群がる人々、その中を器用にすり抜けていく出前持ち、、。なんともアジアの混沌といった感じの景色が繰り広げられている。少し失礼とは思ったが、食べている人のお盆の中をのぞいてみると、どんぶりのご飯に、メインのおかず(野菜炒めとか、レバニラ炒めのようなもの、あるいはカレイのから揚げ等)、そして、そこに4皿ほどのキムチがついている。これって けっこう美味しそう。

ところで、食事の度に景気良く出てくるキムチというのは、全部食べきってしまうということはないのだが(地元の人でもそう)、これって残りは捨ててしまうのだろうか?あるいは、使いまわされるのだろうか。焼肉店などで出てくる食べきれないほどのキムチの残りは、いったいどこにいってしまうのだろうか。さすがに、ごみ袋をあさったりすることは出来なかったので、真相は謎だが、あの調子で考えると、莫大な量の食べ残しキムチが捨てられているはずだ。僕の勘ではそのうちの幾らかは、鍋なんかに使われるんじゃないかと思うのだが、、。