牛で〆る沖縄の夜

Photo: "BBQ set meal."

Photo: “BBQ set meal.” 2017. Okinawa, Japan, Fujifilm X-Pro2, Fujifilm M Mount Adaptor + Carl Zeiss Biogon T*2,8/28 ZM, ACROS+Ye filter

沖縄の人はステーキで夜を〆る。確かに、深夜のステーキハウスは繁盛している。でも、ちょっとそういうのは厳しいかな。例えばジャッキーステーキハウスには、粉っぽいスープも含めて独特の美味しさがあるけれど、夜中にギラギラした照明のダイナーでステーキを食べる気分にはならない。


僕には牛屋の焼肉(並)ぐらいが、丁度良く感じる。これに、ご飯と、スープと、キムチのセットを付ける。結構脂分を感じる焼肉はあらかじめカットされていて、ニンニク風味の浅漬キュウリの付け合わせが妙にうまく感じる。お酒は二人で瓶ビール1本を分け合って、まあ、丁度良いくらい。

奥のテーブルでは、地元の仕事帰りからの、飲み屋帰りの紳士達が、気怠く締めの肉を食べている。うまい、なんて今さら言わないで、食べている。こういうぐらいのテンションが沖縄で言うところの、肉で〆るというものなのかもしれない。正直、この店はちょっと高く感じる値付けで、酔っていなければ食べには来ないだろう。

初めて来たとき、僕は相当に酔っていたように思う。今はもう、そんなには飲まない。

韓国の旅をふり返る

韓国の旅を振り返ってみる。

韓国は何だったか、と言えば、やはり食べ物だ。食事のよさでは、アジア圏では筆頭。(もちろん、僕は日本食が一番美味しいと思っているが)そして、韓国の食べ物と言えば、牛肉とキムチだ。

実は、韓国に行く前に、昔1ヶ月間韓国でソフトの開発をやったことのある先輩から「韓国は何でもキムチだ」と言われていて、「んなアホな」と思わないこともなかったのだが、行ってみたら本当にキムチだった。


まずは焼肉から考えてみよう。(考えるほどのことでもないが)韓国と言えば焼肉というイメージだが、これは確かにそうだ。韓国人が毎日焼肉を食っているわけではもちろんないが、焼き肉は旨い。というよりも、牛肉が(安いやつも、高いやつも)根本的に美味しいのである。

一口に牛肉といっても、国によって味の方向性は違う。例えば、日本の牛肉はわりと脂っこくて、半生ぐらいで食べるのが良い。悪名高いアメリカの牛肉は、どう調理しても味も脂も感じられないし、レアで食べてもどのみち固い。それに比べて、フランスの牛肉は、とにかく固いが、いちおう脂はある。ドイツの 牛肉はただの炭で、ああ、ソーセージにすればよかった、と後悔しつづけるような代物だ。別に、世界の牛肉を食べ尽くしている訳ではぜんぜんないが、少なくとも、和牛よりも美味しい牛肉なんて、僕は食べたことがなかった。

しかし、韓国の牛肉は、もしかしたら和牛よりも美味しいかもしれない。脂はあまりないし、食感が柔らかいわけではない。しかし、プリプリした歯ごたえと、肉の味の濃さが確かにある。そして、焼きすぎても(韓国の肉料理は、往々にして焼きすぎだ)、冷めても、そのプリプリ感は失われず、全然美味しいの だ。肉自体の脂が少ないから、焼肉にしても、日本で食べるよりも沢山食べられる(食べてしまう、というべきか)少なくとも、僕はあんまりしつこいのは嫌いだから、個人的には韓国牛の方が好きかもしれない。


で、次にキムチだが、これは日本の御新香、、ではなさそうだ。それは、おかずであり、味の傾向の基本であり、そして御新香の役割もある。韓国で何か食べると、小ぶりな平皿にキムチを入れたものが数種類は付いてくる。

(余談になるが、地球上でなりたくない職業の一つは、間違いなく韓国の皿洗いだ。ここの人たちは、驚くほど皿を景気良く使う。盛り合わせるぐらいなら、皿を分ける、というのが基本らしい。これは、別に高級な店に限ったことではない。大韓航空の機内食だって、街の500円ぐらいの定食屋だって同じだ。 まあ、キムチをごちゃまぜに出したりしたらまずいので、必然的に皿が多くなるのだろう。)

よく韓国のキムチは種類が豊富だと言うが、これに関しては僕にはよく分からない。なぜなら、韓国料理の味付けの基本は唐辛子。唐辛子で真っ赤に染まった野菜や肉は、いったいどこまでがキムチなのか、その境界が分からない。だから、日本人からみると、みんながみんな唐辛子味、つまりキムチ味なのだ。 だから、朝も昼も、夜も、キムチを食っているような気になってしまう。あぁー、もうキムチはいらない。しばらくするとそんな気になったりもする。

僕は食べなかったが、南大門の市場のあたりを歩いていると、昼時には店先で出前の定食を食べている人がけっこう多かった。出前は、長方形の金属製の お盆に料理を載せ、それをいくつか重ねた状態で、若い出前係りが手で運ぶ。ごちゃ混ぜの露天と、それに群がる人々、その中を器用にすり抜けていく出前持ち、、。なんともアジアの混沌といった感じの景色が繰り広げられている。少し失礼とは思ったが、食べている人のお盆の中をのぞいてみると、どんぶりのご飯に、メインのおかず(野菜炒めとか、レバニラ炒めのようなもの、あるいはカレイのから揚げ等)、そして、そこに4皿ほどのキムチがついている。これって けっこう美味しそう。

ところで、食事の度に景気良く出てくるキムチというのは、全部食べきってしまうということはないのだが(地元の人でもそう)、これって残りは捨ててしまうのだろうか?あるいは、使いまわされるのだろうか。焼肉店などで出てくる食べきれないほどのキムチの残りは、いったいどこにいってしまうのだろうか。さすがに、ごみ袋をあさったりすることは出来なかったので、真相は謎だが、あの調子で考えると、莫大な量の食べ残しキムチが捨てられているはずだ。僕の勘ではそのうちの幾らかは、鍋なんかに使われるんじゃないかと思うのだが、、。