ウォンバット

Southern Hairy-nosed Wombat's nest.

Photo: “Southern Hairy-nosed Wombat’s nest.” 2016. Taronga Zoo, New South Wales, Australia, Apple iPhone 6S.

オーストラリアに来たからには、ウォンバットを見なくてはならない。そもそも、オーストラリアの動物園は、木もたっぷりしていて、人間が見やすいと言うよりも、動物が隠れやすいようにできているようであり、動物を見つけるのが難しい。その点は、いかにも「欧米」な感性で作っている。

さて、ウォンバットはさっぱり出てこない。塀から身を乗り出してのぞき込んでいると、

「あんたたち、暑いからウォンバットはみんな穴の中だよ!」

と、親切なオーストラリアのおばちゃんが教えてくれる。もっさりした茂みの下に巣穴があるらしいが、強日差しを避けて穴の中らしい。その場で 20分ほど粘ってみたが、やっぱり出てこなかった。

おばちゃん曰く、

「私の夢は、ウォンバットを飼うことなのよ。」

そんな話をして、翌日、僕の夢は、カピバラを飼うことだったのを思い出した。

俺は屋台でナンを食う

Holly cow on the road.

Photo: “Holly cow on the road.” 2013. Agra, India, Apple iPhone 4S.

「俺は屋台でナンを食う」

「俺はガンジス川の中で目を開ける」

と豪語していた友人は、ヨーグルトの中の謎の菌によって倒れた。親切なインド人が勧めたヨーグルト、それが鍵だ。だいたいに於いて、インド人は親切なのであって、そして時に過剰に親切だったり、お節介だったりする。


ミールス、つまりインドの定食を出すこの店は、ニューデリーのハイソなエリアにあって、欧米系のビジネスマンも来るような、ちょっと気の利いた地元のレストランだ。種類が沢山入っているミールスなら、何か食べられるものも含まれるだろうと思ったし、昨日アーグラーで運転手に案内された店の味は、なかなかだったので、正直油断もあった。そう、インドと言ったって、ちゃんとしたエリアなら、大丈夫なのだ、と。

9種類ほどの小皿を搭載して、ミールスがやってくる。さて、どう食べたものか。見た目ちょっと色黒に焼けていた友人は、食堂の店主に何らかの親近感を持たれたようで、(あるいは、インド人の何かを揺り動かす顔立ちなのかもしれない。ホテルのフロア担当のマネージャーにもやたら親切にされていたから)ミールスの食べ方をえらく丁寧に教えられていた。

このヨーグルトをカレーと一緒に食べるとマイルドになる。だいたい、そんな感じの事だったのだと思う。僕は、「絶対に」生乳の発酵製品を口にしまいと思って居たから、ヨーグルト類に手を付けることは無かったが、友人は言われるままに食べていた。


味は、それでも、ほどほどに旨かった(期待よりは旨くない)ように思う。店を出て、さてどうしましょうか?ん?ホテルに帰りたい?なんか顔色がおかしくなってる気がするけど、大丈夫?大丈夫じゃない。。

インドの洗礼は突然にやってくる。トイレから離れられなくなった友人をホテルに置いて、その午後から僕はインドを一人観光する事になった。ナンの屋台、などというものは、見かけ無かった。

タージ・マハルの日傘警官

A parasol with Indian police officer.

Photo: “A parasol with Indian police officer.” 2013. Taj Mahal, India, Richo GR.

命が満ちすぎている感じのインド。その中で、タージ・マハルは、一切の生命を拒否するように、大理石の固まりとして、周りの混沌とした世界から隔絶して整然としている。

それが、見るものを驚かせる。

こんな混沌とした世界で、どんなプロジェクト管理をしたら、どんな人材育成をしたら、こんな建物を建てられるのか。ノイシュバンシュタイン城も、万里の長城も、実際みてみるとそんなに、、という感じだけれど、タージ・マハルには、これ凄いなと感心する。


緑がもさもさ生い茂り、日が容赦なく照りつけ、野良犬すら地べたに張り付いて動かないこんな土地で、ただ后への追悼のために、こんなものを作ってしまった一人の人間が居た事に、慄然とする。

タージ・マハルから大楼門を望む階段に、日傘警官を見る。ここは僕が今まで行ったことのある「観光地」で一番、過酷な場所だと思う。地元の警官でさえ、日傘が必要な、そんな場所なのだ。日傘というか雨傘だけど。