パークハイアット

しっとりした絨毯の上を、歩いていく。7色の花を盛りつけた、中国風の花器。飴色に輝く、マホガニーの本棚。研かれた金属の光沢を吸い込む、深緑の石壁。にぶい静寂。

再び、エレベーターに乗る。地上数十階から見下ろす、街。梅雨の雨に洗い流され、澄みきった大気。ひときは眩い、街の灯り。聞こえてくるのは、賑やかなオールデイズの歌声と、浮かれたピアノのリズム。

ピシッとしたウェイターが運んでくる、冷たいカクテル。口をつけてから、アプリコットがキライだったことを思い出した。ざわめき、タバコの薄い煙。向かいに置かれた、オン・ザ・ロックスの氷が、ゆらりと動く。

気遅れさえしないなら、こんな場所で、お気に入りの酒を飲み比べてみるのもいい。このBARは、副都心の夜の中で、もっとも好ましい場所の一つ。いろんなことはどうでもよくなって、アルコールのひんやりした匂いだけが心地よい。少し高揚した、ゆったり感。

はっきり言って、初めて行ったのだが。

エリートクラゲ

羊ページ管理者には、ピンポイントの好物がいくつかある。その一つが、中華料理の前菜でお馴染み、クラゲだ。従って、僕はクラゲにうるさい。

さて、今日食べたクラゲは、そんじょそこらのクラゲではなかった。言ってみれば、荒れ狂う東シナ海で厳しい訓練を受けた、エリートクラゲ。普通よ り、細く引かれたクラゲを、ごま油と少しの薬味で薄味、かつドライに仕上げてある。一口食べる。そして、それは口の中でポリポリするのだ。その歯ごたえ、 もはや、崇高と言ってもよい。

この一品。是非、クラゲ好きと一緒に挑戦していただきたい。じゃないと、猛反対される。一皿、1,750円もしやがるのだ。さすが、エリート。

かっぱえびせん 紀州の梅

深夜のオフィス。外は梅雨のまえぶれを告げる、生暖かい雨。300平米ほどのフロアに、まばらな人の気配。肩までの高さに仕切られたパーティションの一角に座り、ディスプレイを見つめる。蛍光管がたてる微かな高周波。

周囲に置かれた、数十台の PC やサーバーから聞こえる、「フーン」という独特の音。空冷ファンや、ディスクプラッターが回転する音だ。夜はマシンが元気。

時々、自分自身が立てるキーボードの音がする。

やがて、同僚の人が、パリパリとポテトチップを食べる音。パリパリ、パリパリ。

別の人がビニールをガサガサやる音。プシュー、パカッ。ん、それは「かっぱえびせん 紀州の梅」(缶入り)だな。

みんな、腹へってるのね。