餃子 15人前

Photo: 焼き餃子 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "焼き餃子" 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

餃子を食いたいという人がいたので、餃子を食いに行くことにした。だいたい、こういうのは、勢いがないといけない。周到に計画して、スケジュールを 合わせたりしていると、ドタキャンが出たり、店が休みだったり、その日に限って餃子のできが悪かったりする。(あるいは、ニラが切れているかもしれない)

ということで、もう、「この日!」と勝手に決めて、適当にメールを流して、出たこと勝負で時間を決める。でも、店が微妙に決まらない。なるべく、高 級じゃないところがいい。円卓が回ったりしない、テーブルがちょっとベタベタしているぐらいが良い。もう、語感だけで撰んでみる。こういう時にネットは便 利だ。某餃子チェーンの名前を放り込んでみて、適当に検索する。


さて、地図を頼りの現地集合。少しぐらいハングリーな方が、人はちゃんと行動できる。席も何故か空いていて、さっさと入れた。っていうか、他に客が あんまりいないが、大丈夫なのか。早速、餃子をオーダーする。まずは、焼きと水餃子、合わせて 15人前。初見の店でも、まずは様子とかを見ないで行きたい。で、むさぼり食うに、これは美味しいんじゃないだろうか。ってか、当たり?水餃子的物体は、 かなり大蒜臭がするわけだが、これはこれで餃子として正しい。焼き餃子は、薄目の皮が芳ばしくて良い。油もさらっとしていて、口当たりが軽い。ものすごい 勢いで、目前の餃子が無くなっていく。都心の高級住宅地の奥にある、でもフツーの、中華料理というか、ラーメン屋。実直な仕事。追加オーダー。クラゲ盛り だ、チャーハンだ、麺だ、あげく全部混ぜろ、とかいう話になって、紹興酒が数本空いて、お一人様 2,600円。安っ!

古き良き東京の変わらない味、鰻重

Photo: 鰻 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "鰻" 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

友人が、今日の気分は鰻だ。というので、鰻にした。

暖簾をくぐると、都心とは思えない静寂。最もお気に入りの、奥の座敷に通された。今の職人ではとてもつくれない、という美しい造作の丸窓、ゆっくり 歳をとった建物の佇まい。昔からの常連さんが多いから、値段が上げられない、と聞いたことがある。だから値段は高くない、むしろ、この時代にこの値段で やっていけるのか?とさえ思う。
「どのくらいのところでお持ちしましょうか?」
「日本人なら真ん中だよね、真ん中のやつで。」

仲居さんは、にっこりして、お茶を出していく。お腹は空いているけれど、ご飯の盛りを良くして欲しいとは言わない。以前、そう頼んだら、お重にみっ しりのご飯が入ってきて、大変なことになった。何も言わなくても、十分なのだ。さて、それからたっぷり 30分も待てば、鰻の登場というわけだ。料理が出来上がってくるのを楽しみに待つ、というのは、なんとも懐かしい感覚だ。


きっちり焦げ目の付いた鰻は、もちろん旨い。でも、周りをうめているものも大切だ。唇が少し痺れるくらいに辛い山椒。炊きたてのご飯と、漬け物の はっとするような爽やかさ。香の物を盛った鉢に、季節の香りが現れている。白菜の白の中に、甘酢で赤く漬けられた蕪の、美しい赤。朱塗りのお膳と、使い込 んだお重。丁寧な仲居さんの応対。何だって同じことだ、ちゃんとしたものを、ちゃんとした仕事で。

食事とは、こういう事なんだと思う。暖簾をくぐって外に出ると、存外冷たい空気。まだ、本格的な春は先だ。

ザ・カフェ飯

Photo: ザ・カフェ飯 2004, Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "ザ・カフェ飯" 2004, Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

たまたま入った喫茶店は、壁一面が本棚。それも、表紙のデザインだけで並べているのではなくて、読んで面白かった本を並べている感じ。ハードカバー の『ボーイング 747 はこうして空中分解する』を読みながら、ランチを食べたいという人が居るのかは分からないが、なかなか面白い。

白基調の明るい店内、ちょっと広めのテーブル、値段は抑えめ。雨後の竹の子のように増えている安易なカフェと言うよりも、一段、ちゃんとしている様に思う。だから、へんぴな場所にある割に、混んでいる。


『漁師の食卓』の鯛の目利きの方法を読みながら待つ。出てきたのは、ザ・カフェ飯、みたいなプレート一緒盛り(別名:犬ご飯)だったけど、実はちゃんと美味しい。本当はハンバーグを頼んだのだけれど、
「鶏の足丸ごとというショッキングな料理だとは思わなかった」

という理由で、鶏のプレートを前にげんなりしていた知人と交換。しっかり煮込んだ鶏の足は、最初テーブルにナイフがないことに戸惑うものの、箸で十 分に扱える。皮がついているのが偉い。コーヒーはともかく、お茶の類に信じられないぐらい手を抜く店もあるが、食後のハーブティーも、香りよく感心させら れた。

ちょっと変わってるけど、ちゃんとしてるね。