少し前のことになるが、東京の小学校でクラスのホームページをつくって「公開」した先生が、「そういうことをしてはいかん」と教育委員会におこられ たことがあった。(現在もそのページは生徒の実名をニックネームに変えるなどして継続している。)生徒達が、了解しているにもかかわらずである。
バカなことだと思う。しかし、ここではたまたま、新しもの好きの新聞がとりあげて「事件」になったのだが、目に見えないこれに近いケースはいくらでもあるのではないだろうか。Internet に何を「公開」するべきか、という問題である。
確かに、「公開」には常にリスクとプレッシャーがつきまとう。匿名ならどんなに楽なことか。実際には実名で公表しているわけだから、ややこしい。な にを「公開」して良いのか、判断に迷う。ページに掲載している写真には、肖像権もからむ。はっきり言って、匿名でページを作ったほうが 100倍楽である。しかし、逆に、匿名ではこのページの大半の内容は無意味になってしまう。
だいたい日本の公式サイトというのはものすごくつまらない。企業のホームページや、大学、公共機関のページには見るに値しないものが多い。つまらな い理由は簡単だ。読みたくないものしか載っていないから。肝心の情報は何ひとつ「公開」されていないから。逆に、面白くするには「公開」というリスクを冒 さねばならない。そして、それは日本人が一番不得意としていることである。
うちの大学にも、Internet は当然導入されている。しかし、全学生に対してアカウントは発行されていないし、教育もされていない。管理者の人数は少なく、学内のコンピュータの管理も いきとどいていない。(スタンドアローンがやたら多い。これでは、何人技術者がいてもおいつかないだろう。)たぶん、コンピュータリタラシー(分からない 人は、ニコラス・ネグロポンテとかアラン・ケイの論文でも読んで下さい。)に対する大学側の認識の欠落がおおきいのだろう。(僕としては、英語と同じくら いの優先順位をもって教えるべきだと思うのだが。)そして、その欠落が一番良く現れているのが、大学のホームページだ。僕はこの大学に通うものとして、恥 ずかしい。アップ以来一度も更新しないという姿勢をとるくらいなら、削除するべきだと思う。
さて、このページは大学公認ではないし、そういうものをとろうという気もない。(他のゼミのページの中には、大学のサーバにページをおいているもの もある。それはそれでけっこうなことだし、非難するつもりは全くない。)一度だけ大学の広報からだいぶ常識のないアンケートメールをもらったことがある が、それきりだ。(あまりに非常識だったので、メールで真意を確認したが、返事はなかった。驚きだ。)僕は自費でこのサイトを維持している。技術もコンテ ンツも、ゼミのメンバーの協力と自分の力だけでなんとかした(アイコンだって自家製だ)。開設にあたって、許可なんてとったことは無い(ゼミのメンバーに はとったけどね)。勝手にやっているのである。いちいち誰かの顔色をうかがっていたら、新しいことは何もできない。だから、自分で何とかする、勝手にやる。日本で最初の Internet だって、そういうやり方でつくられたのだ。