食卓塩の瓶

Photo: table salt 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

Photo: "table salt" 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

食卓塩の瓶は、マスプロダクトのデザインとして完成されている。合理的で、効果的で、無駄がない。

例えば、ゲランド海塩の小さいサイズ(それでも食卓塩の倍はあるが)の紙とプラスチックでできたボトルは、あまり合理的とは言えない。簡単にこけるし、スライド式の開け口はいつも半開きになって、しょっちゅう湿気っている。

その食卓塩の瓶を、緩やかに捻る、ということを誰が考えついただろう。横に写っている味の素の瓶しかり。


僕は、既に完成されたデザインを、テコのように使って、別のものをつくってしまうことが、何かちょっとずるいなと思ってしまうし、どうしても否定的な目で見てしまうのだが、これは素直にやられた感じがする。

誰もが知っている記号がちょっとずれている感じ。キャンベルのスープ缶よりも、日本人にはこっちの方が馴染みがあるということもあると思う。

階段の花

Photo: steps 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

Photo: "steps" 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

「この花は何ですか?」
作務衣を着て、寺の階段を清めている老人に問うと、人の良い笑顔を浮かべながら

「いや、まったく存じないんです」
と恥ずかしそうに答えた。

冷え込んだ晩冬の日光が、その名前の知られぬ花を照らした。

真っ白な雨傘

Photo: 真っ白な雨傘 2003. Kamakura, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EB-3

Photo: “真っ白な雨傘” 2003. Kamakura, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EB-3

鎌倉の裏路地。石垣と土壁の小路。


突然、風に吹かれて、干されていた傘が、ふわりと落ちてきた。

カンカンの日の光を浴びて、気持ちよさそうにくるくる回る、真っ白な雨傘。埃っぽい春風に踊れ。


風が止む。音楽が止んだように、傘は地面に舞い降りた。