アイリッシュの五月蠅いマスター

Photo: 2002. Tokyo, Japan, Canon Power Shot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

Photo: "麻布の旗" 2002. Tokyo, Japan, Canon Power Shot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

アイリッシュの店を紹介してもらった。

値段が安い。遅くまでやっているし、歌舞伎町の入り口すぐのところにあるから、行きやすい。料理は、値段の割りに美味しい。トマトのフライなんて、少し気が利いてる。ギネスの泡も、許容範囲。

たった一つ、問題は、マスターがうるさいこと。賑やかで楽しい、というのではなくて、ただ声が大きくて押し付けがましい。話しが長い。説教くさいバーテンダーほど、嫌なものはない。


カウンターでぼんやりと飲んでいると、かのマスターが話しかけてきた。なにやら、一人で酒を飲む事の利点について、語っている。
「一人で飲んでるときはボーッとするのがいいんですよ!」

そうね。だから、ほっといてくれ。

「あとね、小説とかもいいんですよっ!何も考えなくていい、馬鹿みたいな本を読むんです。村上春樹とか。」

僕はその時、村上春樹の「1973年のピンボール」を持っていたのであって、よほど、「これのこと?」と鞄から取り出そうかと思った。が、このアホ になにを言っても仕方のないことだと思い直して、気の無い返事をしておいた。時間が早ければ、いつもの店で飲みなおしたいぐらいだ、、。


この店、皆で飲むには安いし美味いし、なかなかよいが、一人で行く事は慎むべきだろう。まあ、はまってこそ、良い店の有り難味も分かるのだけれど。


注:この写真は、いつものお店の方。

赤提灯とパスタ

Photo: 2002. Tokyo, Japan, Canon PowerShot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

Photo: 2002. Tokyo, Japan, Canon PowerShot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

美味い店。

入る前にこれを見極めるには、それなりの経験とセンス、そして運が必要。見た目が洒落ていなければいけない、ということではない。雑然とした感じの外観でも、なんとなく美味そうなオーラを出している店というのも多い。

しかし、いくらなんでも赤提灯に「パスタ」はないだろ。


スモークチーズのグリルを、テカテで流し込みながら、懸案のパスタを待つ。店内は(赤提灯なのに)ルート 66 をモチーフにした謎のアメリカンテイスト。店の隅では、常連とおぼしきジーンズ姿のおっちゃん達がビールを飲んでいる。

生トマトとベーコンのパスタ。

愛想の良いウエイターが運んできたパスタは、存外美味かった。ベーコンが、きちんとベーコンだった。ツルリと食べて、ウィルキンソンのジンジャエールで飲み下す。

窓の向こうに、赤提灯が揺れていた。


注:ウィルキンソン・ジンジャエール、かなり辛いが美味いジンジャエール。アサヒ飲料が製造する日本産というのは、ちょっと意外。詳しい情報は、ウィルキンソン・ジン ジャエール愛好会でどうぞ。

コンビニのゆで卵

いったい、誰が買うの?
コンビニのゆで卵。

その疑問に終止符を打つべく、思い切って買ってみた。午前 3時のコンビニで、ゆで卵を買う生活。ちなみに、ゆで卵は 1個 60円。パックに入った卵の単価を考えると、高いような気もする。


翌朝。

パッケージを開けると、ゆで卵が 1つと、折りたたまれた紙が入っている。塩は入っていない。

紙を開くと、マニュアルになっていた。これによれば、中の卵自身に塩味がついているらしい。それに、殻の剥き方の解説もある。頭の方を薄皮ごと 1平方センチ剥き、尻の方に小さく穴を開け、頭のほうから息を吹き込む。そうしてみると、確かに、なんとなく、うまく剥けるような気がする。


食べてみる。
「ウマイ、、」

黄身は濃厚で、ドロッとした茹で具合が絶妙。信じられないことだが、卵全体に塩味がしっかりついており、普通に塩を振ったときのように、一部分は塩辛く、一部分は味が無いなんてことはない。こ、これはもしかして、すごくウマイかも。思わず買ってしまうかも。

人目をはばかるように、ひっそり売られている、あのゆで卵。

ゆで卵って、ウマイんだね。

注1:付属のマニュアルは、殻を剥くときの、ゴミ受けにもなる。秀逸だ。
注2:その後の調べで、JR のキヨスクで売られている、「パールカル」というブランドのゆで卵が、別格にウマイらしいことが判明。しかし、最寄り駅ではいつも売り切れており、未食である。マニアが買っているに違いない。
注3:単に茹でたのではダメで、あの味はそう簡単につくれるものでは、ないらしい。