Photo: “ニセカフェ飯” 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.
目が覚めると、ほとんどお昼だった。ホテルのモーニングコールを消して、また眠ったらしい。
東京に帰ることをのぞけば、今日は特にやることもない。遅い朝飯を食べてから新幹線に乗ろうかとも思ったが、あまり食べる気がしない。
関西の駅でよく見かける神戸屋キッチンのサンドイッチは、地元の人にはなんてコト無いのかもしれないが、僕は結構好きだ。昼飯代わりに、何か買って おくことにした。オニオン・サラダと、ロースト・ビーフのサンドイッチ、それから、少し大ぶりのチーズとハムのサンドイッチ。全部で 1,000円ちょっと。通りかかって芳ばしい匂いがしたので、 ベアードパパのシュークリームも買った。
東京行きの電車が駅を出て暫く、そろそろ昼メシを広げる時間だ。「偽カフェ飯」みたいな見た目は、どんよりした曇り空の景色の下で、確信犯的に白々 しい。でも、それなりに美味しい。ちゃんと岩塩の味がついた肉と、ピリッとしたクレソンの味。ありきたりの弁当を買うより、ずっと良い感じがする。
通路の反対側の席には、老夫婦が座っていて、夫はビールからウイスキーに飲み進んでいる。ウイスキーの芳香が、明るい車内の中を伝わってきた。昼過ぎ、電車は田園の中を走り抜けていく。