あかちょうちん(生肉)

Photo: 刺し盛り 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "刺し盛り" 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

食い物の記事もかいておくか。

最近、西洋系な外国人でも刺身・鮨は食える。喰えることが、クールみたいなのがやっぱりあるのだろう。でも、生肉は喰わないね。

レバ刺しとかでも、かなり無理して挑戦するやつがいるかどうか、ぐらいだと思われる。そんな彼らを是非連れて行ってみたいのが、このあかちょうちん。←店の名前だ
日本人でも尻込みする、獣の内臓系の刺身を食わせる店だ。タン、ハツ、チレ、ガツ、レバー、小袋、などなどを盛り合わせた最強の「刺身盛り」。でも、これうまいよ。


考えてみると、これって魚の生食という文化に、獣を食う文化が入ってきて、しかも宗教上の食べられる肉の縛りがなくて、っていう日本文化の希有な偶然の産物のような気がする。

秋刀魚の味

Photo: 秋刀魚のキモ焼き 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "秋刀魚のキモ焼き" 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

今週は秋刀魚ばっかり食べているような気がする。メニューに秋刀魚があると、脊髄反射で頼んでしまう。で、頼んでいきなり出てきちゃったりすると ガッカリだけど(そんな店には行かないが)、焼き上がるのをわくわく待つのは楽しい。オヤジ系定食だけど、やっぱり、塩焼きが一番ですね。

でも、僕は秋刀魚のキモが食えない。大人の味、だから大人になったら食えるようになるかと思っていたが、無理なものは無理みたい。脂身が食べられな い人のことが、ちょっと分かる。魚は綺麗に食べるほうなんだけど、秋刀魚はそういうわけで、いまいち骨だけしか残らないっていう訳にいかないのが悔しい。 でも、この店のキモ焼きは食べられるんだよな。新鮮な秋刀魚にキモを使ったタレを塗して、炭火で焼いてある。この時期だけのメニュー。


秋刀魚を食べると、やっぱ日本の秋の味だよなぁと思う。外国でも食うのかな?辞書を引いてみると、a Pacific sauryっていうらしいから、きっと獲れるんだろうけど。

そういえば、小津安二郎の映画「秋刀魚の味」。そんなタイトルがついてるのに、最後まで秋刀魚が出てこない。でも見終わると、ああ、これは間違いなく「秋刀魚の味」っていうタイトルだなぁと思う、そういう凄い映画です。秋にオススメ。(料理の映画じゃありません)

残暑のちゃんこ鍋

Photo: 残暑のちゃんこ鍋 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "残暑のちゃんこ鍋" 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

相撲マニアのフィンランド人マキネン(仮名)は、ちゃんこ鍋を食べたくて仕方ないらしい。ちゃんこだちゃんこだと言う。前回来日した時には、「どこ でもいい」と言うから焼き肉に連れて行って生肉を食わしたので、内心懲りたのかもしれない。まあ、そこまで言うならちゃんこに連れて行ってあげるか、とい うことになる。しかし、残暑厳しいこの季節に鍋か?

小汗すらかきながら店にたどり着くと、客は 2組ほど。人気の店と(ネットで)評判だったので予約していったが、そんなものは必要なし。案内しておいてなんだが、ちゃんこ鍋って食べたことないんだよ な。せがまれて名物料理に行ったはいいけど、案内した当人は食べたことが無いって、割とありがちだと思う。相撲だって観たことないし、ちゃんこも喰ったこ とないし、だいたいそんなもんでしょ。


この店のちゃんこ鍋は金属製の浅めの鍋に、白みそ仕立て。エノキ、鶏団子、油揚げ、などなど。ちゃんこ鍋ってどういう意味かと聞かれて、鍋は hot pot だと誤魔化したが(chanko pan が正しい?)ちゃんこの意味が分からない。お店の人に聞いてみたら、ちゃんは親方、こは弟子の意味なんだそうだ。そうか、「ちゃん」ってあの大五郎が叫ん でる言葉か。

マキネンは、スィイタケ、スィイタケと言いながら、エノキダケを喰っている。mushroom のことを、椎茸と覚えているのかもしれない。放置しておく。喜んで食べている彼の顔を微妙な表情で見ている我々に気付いて

「ちゃんこ好きじゃないの?」

と言うが、いや、そういうことではなくて、普通、この時期に鍋は食わない。見ろ、店はガラガラじゃねーか、という話だ。ちゃんこ鍋自体は、少し塩味 が強い気がするが普通に美味しい。でも、なんか冷房をめちゃくちゃ効かせた中で鍋を食べるというのも、ありがたみが無い。それよりは、前菜で出てきた、鰹 のタタキが美味しかった。ネギとポン酢が容赦なくまぶされていて、ポン酢マニアにはたまらん。

それにしても、量が多くて、前菜は2人前、ちゃんこは 3人前を 4人でシェアしたのだが、もういらん。最後のウドンは、2人前で鍋が溢れる感じ。マキネンに「そんなことでは横綱にはなれんぞ」とはっぱをかけて、喰わすもののまるで減らなかった。さすが、ちゃんこ鍋だ。


注:AF 機泣かせの湯気が立つ鍋。うまくなさそうに撮れているが、実際、うまくなさそうな見た目だった。(うまいんだが)
注:ちゃんこ鍋の語源は諸説あるようです。広辞苑ではちょっと違います。
ちゃんこ‐りょうり【ちゃんこ料理】(「ちゃんこ」は「おっさん」などの意で相撲部屋の料理人) 力士社会独特の手料理。多くは魚・肉・野菜などをごった煮にし、ちり鍋風にして食べる。栄養価が高い。ちゃんこなべ。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]