近所の、いまにも崩れそうな長屋に入った豆腐店。歩道を覆うように、軒が伸びていて、その上に夏は夕顔が咲き誇る。さしずめ、昭和のファサードと言ったところか。
「気がついたか」
屋根?っていうかファサードに居るのは初めて見ましたよ
「お前が気がついてなかっただけだよ」
大きくなりましたね。初めて見たときは子猫だった
「なに大人ぶってんだ。お前なんかより、よっぽど色々見てんだぞ」
すみません
「俺たちが見えないような生き方はろくなもんじゃないぞ」
ん?
「見えてるのに、見てないんだ」
そうか。。そんなもんかもしれません。今日は、会えて良かった。
「ああ、じゃあな」