シミュレーション仮説、の本がKindleのセールになっていて、相当面白く読んだ。テクニウムを読んで、AIがシンギュラリティーというのはちょっと腑に落ちなかったが、メタバースがシンギュラリティーは、良い線行ってる感じがするのだ。
歯医者の待ち合いの窓から、道路が見える。初夏の薄曇りを通した日差しに、アスファルトが白く焼けている。そこに吸い殻が1本、転がっている。
これが、シミュレーションのリアルか、と思う。良く作り込まれた、テクスチャか。見るうちに、吸い殻は風に吹かれて3、4回転する。更に、向こうから自転車が来て、前輪がちょうど吸い殻を轢いていく。見ている部分だけをレンダリングしているにしても、複雑。
改めて観察してみると、吸い殻みたいなオブジェクトでも、シミュレーション仮説に挑戦してくるような、複雑極まりない動きをしている。
その後の歯医者の治療は、麻酔をかけられて、変にリアルを失った感覚だった。
参考文献:テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?、ケヴィン・ケリー, 服部 桂、みすず書房 2014