転がる吸い殻

Photo: “Tokyo Station at night.”

Photo: “Tokyo Station at night.” 2022. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

シミュレーション仮説、の本がKindleのセールになっていて、相当面白く読んだ。テクニウムを読んで、AIがシンギュラリティーというのはちょっと腑に落ちなかったが、メタバースがシンギュラリティーは、良い線行ってる感じがするのだ。


歯医者の待ち合いの窓から、道路が見える。初夏の薄曇りを通した日差しに、アスファルトが白く焼けている。そこに吸い殻が1本、転がっている。

これが、シミュレーションのリアルか、と思う。良く作り込まれた、テクスチャか。見るうちに、吸い殻は風に吹かれて3、4回転する。更に、向こうから自転車が来て、前輪がちょうど吸い殻を轢いていく。見ている部分だけをレンダリングしているにしても、複雑。


改めて観察してみると、吸い殻みたいなオブジェクトでも、シミュレーション仮説に挑戦してくるような、複雑極まりない動きをしている。

その後の歯医者の治療は、麻酔をかけられて、変にリアルを失った感覚だった。

 

参考文献:われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」、リズワン・バーク (著), 竹内薫 (監修), 二木夢子 (翻訳)、徳間書店 2021
参考文献:テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?、ケヴィン・ケリー, 服部 桂、みすず書房 2014

ワカメご飯

成城石井で愛用していた、超美味いワカメご飯の素は、いつの間にか売り場から消えてしまった。

代わりに、瀬戸内の塩蔵ワカメは売られているので、それでワカメご飯を自作しよう。
小学生の時に引っ越した仙台で、一番衝撃を受けたのは、給食のワカメご飯だ。

僕は給食に何の関心も無い子供であり(驚くことに、食べる事全般に、特に興味が無かった。ご飯が待ち遠しいとか、そういう記憶が全く無い)、給食を楽しみにした記憶は全くない。だが、このワカメご飯だけは好きだった。

わかめご飯

で、出来上がってたいへん高いテンションで食べたものの、やっぱりクソ面倒だな。
味的には、ユニバーサルに入手可能な、これで十分だった。

https://www.tanaka-foods.co.jp/item/wakame/1180.html

小田嶋隆の訃報を聞く

小田嶋隆の訃報を聞く。コメンテーター、みたいな感じで、いつの間にかこの人がメディアに出ていた事に、僕は少なからず驚いた。僕にとっての彼は、「パソコン雑誌」のライターだったからだ。

「我が心はICにあらず」今でも、僕の本棚にもある。引越の度に、持っていく本として選ばれてきた。

何かを書くときに、主語が大きくなると、おかしくなっていく。
「我が心〜」の頃の、自分語りのエッセイは面白かった。あのまま行って欲しかったけど、あのままでは食えなかったのだろうか。