アンコウ鍋

sea devil hot pot

Photo: "sea devil hot pot" 2011. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

都心から地下鉄で少し、駅の階段を登るとすぐ国道が通っている。商店街も何も無いそんな道沿いに、古くからの鮨屋が一軒。

引き戸を開けると、カウンターはもうお客で一杯だ。座敷でビールを飲みながら、集合まで少し待つ。去年のアンコウ鍋会では、やや熱燗をがぶ飲みし、お会計もだいぶ大変な事になった様であり、今年はもう少しじっくり鍋を頂こうという感じ。


丸一匹分?だろうか。とんでもない量のアンコウが、野菜も控えめに大皿に盛られてくる。良く行く居酒屋の料理番が、今日は客の一人として、鍋奉行をしてくれる。

「料理人の手だから、そのまんま手づかみでいいわよね」

と、鍋にリズム良く具を入れていく。それが、妙に説得力があるのだ。


アンコウの身を山と鍋に入れて、とどめに、かぶせるように肝をどっさり載せる。もう、下の野菜も身も見えない。
あとは、グツグツ肝が煮融けるのを待つばかり。

・・・ネットは広大だわ。

Victoria Peak

Photo: "Victoria Peak" 2011. Hong Kong Island, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

ビクトリアピークに向かうトラムは、ちょっと意外なほどの急勾配をガタガタと登っていく。香港 = $1,000,000 の夜景 = Victoria Peak という公式は、当然すり込まれており、忠実にここまでやって来た。

トラムを降り、延々とエスカレーターを乗り継いでたどり着いた展望台は、ライトアップショウの時間を前にして、もの凄い混雑になっている。Peak とは言っても、展望台にのぼらないと、あんまり何も見えないのか。


毎晩 8時から行われるライトアップショウは、それでも連日なんとなく見ていると、そんなにたいしたものでもなく思える。さっさとショウが終わらないかと待っていると、やがて、展望台は空き始めた。

さて、噂の夜景は僕の世界ガッカリ観光地にランクインするのか、それとも素直に凄いのか。


そして、手すりから乗り出して眺めたその光景は、まさに攻殻機動隊 Ghost In The Shell のラストシーン、少女の義体に移植された草薙素子が「・・・ネットは広大だわ。」と呟く最後のカットの、あの世界。

そうか、ここからの景色だったのか、と、突然繋がった感じ。