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酒を飲まずに歩く夜の街は

Photo: “Whiskey bottles in midnight light.”
Photo: “Whiskey bottles in midnight light.” 2006. Tokyo, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

酒を飲まずに歩く夜の街は、以前よりはよそよそしく、入るべき店の幅は狭くなった。

といっても、酒を飲んで失われる人生の時間を考えたら、やはり戻りたいとは思えない。

かつて、そういう世界があって、そこにどっぷりな住人ではあった。そして、いつまでもそこに居続ける必要は無いのだろう。


暗い街路に面したドアの向こうから、熱気とかすかな煙草の臭いが流れてくる。いや、やっぱり嫌かなと思う。透き通った、はっきりした目で見る夜の景色は、酒の霧に煙った色とはまた違う光を持っている。

仕事に飽いて、なだれ込むように酒場に入って、ウイスキーをあおる。そうして、やっと肩の力が抜ける。そういう句読点のようなものとしての酒場は、確かに今でも良いなと思う。しかし、時代は変わった。いつものバーのマスターは、僕の注文からは、アルコールを抜くようになった。