コンピュータのディスプレイを見つめます。
そのまま鼻をすすります。(ズルズル)
画面が揺れて見えませんでしたか?どうやら僕だけじゃないみたいです。良かった。
注:実験には鼻水が必要。
写真と紀行文
コンピュータのディスプレイを見つめます。
そのまま鼻をすすります。(ズルズル)
画面が揺れて見えませんでしたか?どうやら僕だけじゃないみたいです。良かった。
注:実験には鼻水が必要。
絶妙のタイミングで山の向こうから日が射し、雪面にブルーのシルエットをくっきりと描いた。写真は、光を捉える芸術。そんな言葉に納得する瞬間。
それにしても、雪景色を撮るというのは難しい。光があらゆるところから反射し、どう露出をとればいいのかまるで分からない。どんな風に写るか予想できないので、出たとこ勝負の写真になってしまう。カメラに内蔵されたハイテクも、あまり役にはたたない。
それから、僕が使っているT2には、フードをつけたりすることが出来ないので、どうしてもレンズに余計な反射光が集まってしまうようだ。かといって、一眼レフをもってスキーを滑るのは、嫌だが。
炎が、揺れていた。大ぶりの薪が、タイル張りの暖炉の中に積まれている。炎が、柔らかい光を撒くと、煙突に向かう薄い煙が、チラチラと照らしだされた。パチリ、かすかはぜている。
周りはみな、本や雑誌に目を落としている。僕だけが、じっと炎を見つめていた。窓の外では、雪が勢いを弱めることなく、降りつづいている。
その日の泊り客は、僕たち4人だけ。飛び込みの宿泊を快く承知してくれた宿の人が用意した夕食。鹿の刺身、茸を山ほど入れた鱒のホイル焼き、セロリ を刻み込んだスープ、野菜を山と添えたステーキ、そして手作りの漬物。スキー場の宿で、これほど心づくしの料理に出会うのは珍しい。
夕食後、せっかく用意された暖炉に向かわないのは、あまりに無粋というもの。少し怪しい足取りで、暖炉の周りに置かれたソファーに身をうずめる。普段より量の多い夕食と、ビールのアルコールが眠気をさそう。
炎を見るのが、こんなに面白いものだったかと改めて思い直す。木から生まれた炎は、一時として同じ形を保つことはなく、燃えつづける。なんでもない 木。そこから、突然炎が立ちのぼっている。すぐ後ろにそびえる雪山、降り続く雪の中に冷え冷えと立つ樹木。その中に、こんなに暖かい光が隠されていること を、どうして想像できるだろう。
薪が炎に変わってゆく。そんな不思議な光景。
一番太い薪が燃え尽きてしまうまで、ずっと見ていた。