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縄文杉

2001. Yakushima, Japan, Nikon F100, AF ZOOM NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film RHP III
2001. Yakushima, Japan, Nikon F100, AF ZOOM NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film RHP III

はい。これが縄文杉。

「あ、杉だ」

「杉だね」

感想、以上。


登山開始から、4時間。途中からトロッコ道もなくなり、ただひたすらに山を登った。背負ってきたのは、1日分の非常食(チョコレート、ハイチュウ詰 め合わせ、カロリーメイト等)、弁当(おにぎり2つ、唐揚げ、エビフライ等)、水1リットル(縄文水)、合羽(生協の見切り品)、フィルム10本、3脚、 一眼レフカメラ1台、コンパクトカメラ1台。撮影機材の重さのため、水の量を削ったのはあとあと大きな後悔を招くことに。とにかく、カメラが重い。

森の中は、湿度が高い割に涼しかったが、それでも汗がしたたり落ち、体がほてる。時々、小さな沢に出たが、去年の四万十川では生水に当たっているので、口をつけることはしなかった。野生動物が多いので、寄生虫でも居たら大変なことになる。

手を浸けて、顔を洗うだけで、その冷たさがしみる。飲んだら旨いんだろうなぁ。背負っている縄文水の残りは、かなりこころもとない。へろへろになっ て山を登る道すがら飲む水は美味いので、つい飲んでしまうのだ。丁度、運動会の後で、水道の蛇口からゴクゴクのんだ、あの水の味がする。


そして4時間、縄文杉にたどり着いた。

樹齢は、諸説あって2,600年とか、7,000年とか、とにかくいろいろ。朝から、木ばっかりの風景を見てきたので、この杉にたどり着く頃には、もはや巨木にも慣れきっていた。

そして出てきた感想は、「あ、杉だ(また杉かよ、、)」

以上。

てくてく

Photo: 2001. Yakushima, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Fuji-Film RHP III
Photo: 2001. Yakushima, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Fuji-Film RHP III

てくてくてくてくてくてくてく。

縄文杉を目指す道は一本道で、とにかくルートに従って歩く以外に、方法は無かった。ひたすら、トロッコの軌道をづたいに頂上を目指す。獣道が多い屋 久島の山中で、ろくな装備も持たないままにルートをはずれることがいかに危険かは、容易に想像が付く。今年、既に3人が山から帰っていない。


てくてくてくてくてくてくてく。

苔と、水たまりと、濃い森。足元に続く線路。

「やっぱ、我々人生レールの上ってことかね?」

、、仰る通り。

トロッコ道

Photo: 2001. Yakushima, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Fuji-Film RHP III
Photo: 2001. Yakushima, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Fuji-Film RHP III

「洒落になんね?」

登山ルートの入り口に立った我々の、最初の感想である。うち捨てられたような、トロッコの軌道。手元にある、ペラペラの案内図(観光センターでも らった)によれば、この線路に沿ってひたすら 2時間ほど登り、そこから更に山道を 2時間ばかり辿ると、目指す縄文杉にたどり着くらしい。午前 7時、朝霧が晴れ、太陽が眩しく差し始めた。つまり、登山を始めるには、ちょっと遅くなってしまっているということだ。果たして、日没までに下山できるの か?


目の前の沢にかかる、危うげな橋。枕木には杉板が渡されており、なんとか歩けるようになってはいるものの、手摺りらしきものは無し。勝手に歩いて勝手に落ちろ、的な風情。実に、縄文杉に向けての登山は、この橋梁から始まるのだ。

「こんな道ばっかりなのか?」

そして、こんな道ばっかりだった。3つめから、僕は橋の数を数えるのをやめた。でも、人は慣れる。やがて僕たちは、この手の橋や、危なっかしい崖道に慣れた。(横風が強いときは、ちょっと恐かった)

そして、ついには、単調なトロッコ道に飽き始めることになる。


注:写真は、コースの中盤あたりにかかる橋梁。最初は、写真を撮る余裕なんてないです。見た目、普通の線路のように広く見えますが、実際はトロッコ用の線路なので、えらく狭いです。そして、板はガタガタしています。