ホリエモン♪ホリエモン♪

ホリエモンの戦いを見ていると、既得権との戦いは大変だなぁと思う。

放送法などの法律と、オープンとは言い難い商習慣によって新規参入が制限され、ケイレツが崩れた日本企業社会のなかにあって、堂々と「系列局」なる ものを従えている、メディアの巨艦キー局。放送の公共性だ、ジャーナリズムだと、面白い意見があるようだが(それらは、主観の問題)、簡単に言ってしまえ ば、その存在意義は、圧倒的なリーチだ。

一方、メディアの先端、という意味では、テレビはとっくに終わっている。ホリエモンもテレビに求めるのはリーチだ、先端とかリッチネスとか、そうい うものを彼は求めていない。テレビに出ている(笑)コメンテイター達は、口々に「テレビの立場が揺らぐわけがない」というコメントをしているが、そんなコ メントが出る事自体、もう足許がやばいんだろうなぁと思う。テレビは変わろうとしているかもしれないが、所詮は「主番組の視聴率を脅かすようなことはでき ない」わけだ。


ホリエモンを評して「身も蓋もない」と書いてあるのを見たことがあるが、その通りだと思う。非情、というか、無情な拘りの無さ。僕は別にホリエモン は好きでもキライでも無いけど、自分の会社を育てる原動力になったネットに拘る事無く、リーチの面で有利だと思うなら、テレビにすら手を出そうとするその 大胆さは評価する。凡庸の経営者なら、自分が創業したセクターよりも、遅れたセクターに手を出したりしない。

印刷技術が知識を人々に開放し、新聞がニュースを生み、ラジオが「ブロードキャスト」を広め、テレビがとどめを刺した。しかし、ネットのつながり が、初めて限りなく低いコストで多対多のコミュニケーションを可能にし、メディアのヒエラルキーが崩れた。もの凄く短く言えばそういうことで、テレビがそ れ以前のメディアを打ち負かしたように、テレビもまたネットに負けたようだ。

その事実を、多くのテレビの人たちは受け入れることができないのではないかと思う。お金が動く世界だから、それだけの既得権があるのだろう。まあ、 せいぜい頑張って公共性だ、ジャーナリズムだと、既得権を主張して欲しい。でも、ホリエモンが勝っても負けても、テレビが「詰んでいる」ことは確かだ。

それにしても、買収・合併当たり前の業界に身を置きながら今回の騒動を見ていると、なにを今更買収ぐらいで騒いで居るんだ、というのが感想。

掲示板の移行

今、羊ページで使っている掲示板は、OTDというところのもので、いつの間にかホリエモンに買収されていた。
まあ、それはそれでかまわないのだが、そろそろ自前の掲示板に移行しようかと思っている。
いままでなかなか手を付けなかったのは、今使っているもので特に問題がなかったのと、メールフォームなどと違って、データが蓄積される掲示板は、おいそれと乗り換えるわけにもいかず、選定なり、改造なりに結構手間がかかりそう、という理由があった。
でも、まあ、そろそろ。
掲示板のCGIというのは山ほどあって、自分のニーズにあったものも、簡単に見つかりそうだと思ったものの、逆に多すぎて分からない。googleに聞いてみても、あまりにも沢山出てきてちっともたどり着かない。YahooなどのディレクトリサービスでCGIのサイトを探しても、実は何年も前から代わりばえのしないところしか載っていなかった。
そこでふと、はてな?で探してみた。いままでアンテナは使っていたのだが、ここのQAシステムは使ったことがなかった。実際、「掲示板 スレッド CGI」なんていうキーワードで、良い感じの回答が出てくる。wikipediaもそうだけど、ある程度発散してしまった状況にあるwebの世界で、逆に知識を集約するようなサイトが急に便利になっている気がする。発散と集約、その繰り返しだとは思うんだが。
結局はてなで探したCGIを、かなりいじってそれっぽくしてみた。なまじ機能がおおいので、それをどううまく削るか。それに時間を使っている。まだまだ調整だな、、。

IBM は lenovo に何を売り渡したのか

Photo: lenovo のマウスと China Times の買収記事 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "lenovo のマウスと China Times の買収記事" 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

IBM が PC 事業を中国の lenovo group に売却。その正式発表は北京で聞いた。薄っぺらい China Times の一面に、lenovo の CEO が笑みを浮かべながら写っていた。それは、PC の歴史の一つの幕引きであり、新しい時代の幕開けだ。IBM の栄光ある PC 事業を、自国の企業が買収する。その誇りに満ちた報道を見て、IBM は自分が何を売り渡したのか、本当に分かっているのか?という気分になった。


IBM にとって、シェア No.1 になる望みがもはや無くなり、技術的なブレイクスルーもほぼ期待できないこの事業を売却するという結論は、今の路線から考えると多分正しい。例えば、 HBR のコラムみたいな場所(!)では肯定的に論評されると思う。収益の低いお荷物部署から、PC 専業メーカーの花形部署への昇格、可能性を秘めた中国資本への転籍。これを、肯定的に捉える従業員も居るだろう。

しかし、良い面ばかりではあるまい。ハードウェアを軽視し、効率が悪いという名の下に、事業をどんどん売り渡す。(どんどん買う、というのもある が)PC 事業さえ売却される、次は俺たちか、残された一部の従業員はそう思っただろう。(この数年、業界に身を置く者なら誰でも、似たような不安を感じているはず だ。もっとも、その程度の刺激に耐えられなければ、もうこの業界に居る資格は無いのかもしれないが)今回、サーバー部門は売却されなかったが、数年後に サーバー部門が売却されない保証がどこにあるだろう。IBM はコンサルティングファームになりたいのかもしれないが、ならば、そろそろ自らの社名を変える時だ。

市場の変化とともに企業が変わっていくのは、それは必要なことだが、自分たちの根底にあるものまで忘れてしまう危険もある。高い報酬、良い待遇だけ では決して買うことのできない、従業員の忠誠心・高い精神性は、従業員に対する尊敬から「しか」生まれない。シェアや売り上げの Excel シートを眺めているだけで、製品やサービスが出来てくると思ったら大間違いだが、どうも「偉くなった人」はそういうことを忘れがちだ。IBM は技術の会社であって、技術で大きくなった。しかし、業界全体の傾向として、いまや誰も技術なんて大事だと思っていない。足りなかったら、買ってくれば良 いと思っている。でも、本当にそうか?ビジネスコンサルティングだけでは、工場のゲート一つ開かないのに。


買収後も企業文化は維持される、という報道を、鵜呑みにする人間は少ないと思う。(何も変わらないなら、売却することも、買収することも無い)環境 が変われば、そこから生み出される製品もまた、変わる。製品は CAD でつくるものではなくて、人がつくるもの。この文章を書いている ThinkPad の後継が、果たしてどんな製品になるのか。ThinkPad はその思想のある種の保守性に於いて、数あるノート PC のブランドの中でも最右翼にあるのであって、そのユーザーもまた、最も厳しい目でこのブランドの製品を見ている。そのお眼鏡にかなう製品を出し続けること は出来るのか。

Excel シートしか眺めなかった時代の Apple の迷走、例えばそんな風になって欲しくない。一人のユーザーとして、そう思っている。


注:北京の量販店を見ると、だいたい lenovo, Sony, IBM が互角に渡り合ってる感じだった。それに、三星が続く感じ。