言うべき言葉が見つからないときには、黙っていればよい。
カテゴリー: フォトエッセイ
エビ天の缶詰
映画シェルタリング・スカイの冒頭で、主人公が夢の話をする。妻は、
「他人の夢の話は、退屈なだけだからやめて」
と拒絶する。でも、実は彼女は恐れていたのだった、夢が何かの兆候を示すことを。
で、僕が見た「エビ天の缶詰」の夢はいったい何の兆候を示すのだろうか。しかも、缶には「大盛り」と書いてあった。
僕のフェイバレット缶詰と言えば、ポークランチョンミートだな。
写真は、僕が初めて CONTAX で撮ったリールの1枚。
菖蒲田
都会の空気にうんざりして、電車に乗って遠くへ行った。
いい加減な地図を頼りにして、たどり着いた菖蒲田は、今年の夏の遅い歩調のせいか未だ一面の緑色だった。雨に濡れた畦道を進むと、ほんの一角だけ、幾株か咲いていて、それは薄青い鳥がとまったように見えた。
東屋からのんびり眺める新緑は、黒い影に切り取られ、雨が若い緑に染み込むように、心に染み込んだ。
雨が、緑を一番美しく魅せる。この季節の雨は特に。
そして、カエルがまた鳴き始め、僕は次の場所へと歩き始める。