黒澤明「乱」

Photo: 旗 2003. kamakura, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

Photo: "旗" 2003. kamakura, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

黒澤明監督の映画「乱」をたまに見る。全部は見ない。城攻めのシーンだけを見る。

この映画は、紛れもなく、エンターテインメントだ。でも、ホンモノだ。


格調高いというのではなくて、ホンモノ、なのだ。色が。流れる血は、ヨーロッパ中世の食人画のような赤。夜の闇を横たえたような、土の黒。

文化の重さ、というか、一朝一夕にはできんな、これは、という画が続く約 15分。

世界のどこの文化でもない、日本の文化、が生んだ映画だと思う。


黒澤が言っていたことに、とにかく本(脚本)を書かないとためだ、ということがある。映画をつくりたい、というのに、最初からたいそうな設備もス タッフもいらない。わら半紙と鉛筆があれば、本は書ける。それをやらないとだめだ、と言う。確かに。しかし、それが出来る人間は、そうは居ないのだと思 う。

entertainment: 2a 楽しい気晴らし(を与える[得る]こと), 慰み, 娯楽; 《劇場・サーカスなどでの》見世物, 催し物, 興行もの, 余興, 演芸.[株式会社研究社 リーダーズ英和辞典第2版]

大学で習ったことは、二つだった。

Photo: 街路 2005. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "街路" 2005. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

大学で習ったことは、二つだった。

一つは、「自分が感じ、考えたことからだけしか、人は出発できない。だから、それがどんなに世の中と違っていても、あるいはどんなに稚拙に思えても、それを大事にし、守れ」ということ。

これは、僕がものを書いたり、何かを決めたり、意見を言ったりする時の、全ての基礎になった。


二つ目はまたこんど。

奇妙なカタチ

Photo: 奇妙なカタチ 2006. Kanagawa, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak 64.

Photo: "奇妙なカタチ" 2006. Kanagawa, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak 64.

全てのカタチには、必然があるのだろうか。

この奇妙なカタチをした、花とも、葉とも、蔓ともつかない植物の、しかし完璧な美しさには、どんな必然があるのだろうか。


透明な目で見れば、世界は奇跡に満ちあふれている。

世界が美しさを失ったのではなくて、我々が遠ざかったのだと、教えてくれる。