カブトムシ氏 生活する

Photo: “Beetle's dinner ” 2015. Japan, Apple iPhone 5S.

Photo: “Beetle’s dinner ” 2015. Japan, Apple iPhone 5S.

カブトムシ氏を発見してはや半年弱が過ぎた。夏が終わり、秋が来て虫の声が響き、そして虫の声も絶えた今、カブトムシ氏は変わらずに生活している。虫は懐かないと思われるが、それでも数カ月前からは、腹が空くと水槽を叩くことを覚えたようだ。

元々、昆虫というのはかなり短い、限られた時間を生きるように、その体が出来ている。血管が通らない体は、だんだん脆くなるようで、脚の幾つかは先端がとれてしまった。枝の上り下りに、やや不自由を感じてはいるように見える。

それに寝ている(と僕が解釈している)時間は長くなった気がするし、でかい切り株をひっくり返してしまうような力仕事も、最近はしなくなった。穴に潜ってウトウトしている様は、おじいちゃん然としている。


長寿、と言って良いカブトムシ氏を見ていると、長生きポイントって何なのかが見えてくる。食べものが良くて(季節外れで超高価な化粧箱入りブドウ)、気候が快適で(虫用ヒーターが約23度を常に維持)、ストレスが少ない(クヌギのフィールドに入念に隠れ家を配置)、実に納得のいく理由。

彼が幸せな虫生を送っているのか、そればかりは分からないが、そもそも自分だって結局は幸せな生活なのか分からないんだから、知るよしも無いよね、と思っている。

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