コンピュータ屋は、少し面白くない

コンピュータ屋は、少し面白くない。

コンピュータを買うお客がやることは、決まりきっている。変わり映えしない。メールサーバーが欲しいとか、インターネット上で仮想のお店をやりたいとか、そんなものだ。

例えば、コンピュータを買って、それを見ながら一杯やる人はいないし、バルコニーに置いて、その上で花を育てたりもしない。ドラマは、あまりない。


帰りの電車の中で、目の前に立った若い女性の買い物袋が、僕の目を惹いた。

別に覗き込んだわけではなく、座席に座った僕の目の前で、手に提げられた半透明の買い物袋がゆれていたのだ。中身は、なんか脈絡がないが、ビオレ毛穴すっきりパック、微香空間詰め替え用(レモン)、何かの雑誌、とかとか。

この人は、家に帰ったらパックをペタペタ貼って、切れかけた微香空間の中身を詰め替えるのだろうか。妙に、リアルな生活感。脈絡がないと書いたけれ ど、この二つの商品がある生活。くたくたに疲れてもパックをペタペタ貼り、芳香剤を切らさない生活。そこには、小さな頑張りみたいなものがある。

僕の仕事には、そういう感傷の入り込む余地は、あまり無い。サーバー達は、たいてい、冷房の効いた部屋で休み無く使われ、そのまま役目を終える。

例外はある。

僕が売ったなかで、一番ドラマティックに使われているのは、きっと漁港で使われている小さなサーバー。塩水なんかもかかりかねない所で、荒くれ者の漁師に囲まれて、今日も動いている。ガンバレ。

“コンピュータ屋は、少し面白くない” への2件の返信

  1. 一般的には、資産なので減価償却と保守費用の観点から、3?5年程度で更新されてしまうのではないかと思います。あくまで一般論なので、中には、OSのサポート期限が切れても、使い続けるケースも有ります。(10年とか)

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