ラスベガスから、どこへも続かない道

Photo: “Last meal.”

Photo: “Last meal.” 2018. Las Vegas, U.S., Apple iPhone 6S.

“A desert road from Vegas to nowhere..”

ヘッドフォンの向こうでホリーコールが歌っている。飛行機はベガスの空港から動かない。

操縦室のドアが開きっぱなしで、パーサーとパイロットが何やら話し込んでいる。機体の調子が悪いのか、単に何かの順番待ちのような事なのか。なんのアナウンスも無く、小一時間地上から動かない。


調子が悪いなら、飛ばないで欲しい。そういうのを無理すると、やっぱりな感じで事故になるんだよ、とエンジニア的に思う。トラブりそうなものは、トラブるのだ。

陽炎に揺らぐ滑走路をひたすら眺める。こんな薄汚い機械の狭間で、一生を終えるのか、という気持ちがある。

南紀白浜上空

Bird.

Photo: “Bird.” 2013. Agra, India, Apple iPhone 4S.

南紀白浜の上空まで、飛行機は戻ってきた。

多分、何度も書いている事だけれど、大富豪になりたいとは思わないが、ビジネスクラスで旅ができるような人生は良いと思う。

選択の自由、それは足元の広さ。

もちろん、望みは尽きないのだろう。もっと、良い目が見たくなるのだろう。でも、有る程度が足りているとすれば、これぐらいか。


デリーのあの喧騒や、メルセデスの窓を叩く物乞いの声。それは世界の縮図で、僕はずいぶんと甘い場所にいるのだとは思う。だから、どうしろと?