ウォシュレットを自分で取り付ける

Photo: TOTOウォシュレット 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28. Photo by sombody.

Photo: "TOTOウォシュレット" 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28. Photo by sombody.

日本が世界に誇る発明品、ウォシュレット。

一旦これに慣れてしまったら、もう後戻りは出来ない。だから、引っ越してウォシュレットがなくなってしまったことは、僕にとって少なからぬショックであり、苛立ちであった。ウォシュレットの無い生活とは、なんと非文明的・非文化的・非人間的であろうか。


ある日、ヨドバシカメラをうろうろしていると、あまり行かない水回り生活家電コーナーのウォシュレット売り場で、「ウォシュレットタイムセール」が実施されていた。そんなものがタイムセールの対象になることに驚いたが、タイムセールにも関わらず人っ子一人いない売り場にも驚いた。

なるほど、ウォシュレットというのは家電部品として考えると、思ったよりも高くない。かなりハイエンドなものを買っても、5-6万なのだ。風水のなかで重要とされる水場を司るトイレ、ここに投資せずどこに投資しろというのか。ウォシュレットタイムセールという千載一遇のこの機会を逃す手があろうか。

ということで、急遽ウォシュレットの購入を決意した。いつもであれば、入念な下調べをするところだが、何も分かっていないので店員のアドバイスを聞くことにする。店員の解説に寄れば、ウォシュレットは温水の生成方式で2種類に分けられる。曰く、タンクに温水を溜める方式と、瞬間沸騰方式である。もちろん、瞬間沸騰方式の方が高級。


迷わず、高級な方にする。そうすると、今度はグレードが幾つかある。最上位は「暖房機能」と「蓋自動開閉機能」が付いたものだ。男性の方であれば、誰しもがあの自動開閉蓋便器を前に、「今もし勝手に蓋が閉まったらどうしよう?」という恐怖を抱いたことがあるのではないだろうか。ということで、それは却下。上から二番目のグレードにする。メーカーは便器に併せてTOTO、無難な選択だ。
しかし、ここで店員はとんでもないことを聞いてきた。「ところでお色は?」
お色?便器にお色があるのか?聞けば、なんやかんやで5色もあるらしい。皆さんは自宅の便器のお色が一体何色なのかご存じだろうか。僕はそんなことは知らなかった。ピンクやブルーは無いとして、ホワイトなのかベージュなのか、まったく自信が無い。「だいたいはベージュです」という店員の言葉を信じて(一応違ったら発送を一旦とめる交渉はした)注文。トイレットペーパーホルダーのマウントを利用してリモコンを固定するプレート(日本の家電は本当にこういう部分は良くできている)も購入。
さて、工事の手続きはと思ったらまたとんでもないことを言う。「ご自分でもできますよ」
家電品ならわかるし、家具もたいていは自分で組み立てるが、ウォシュレットでそんなことは可能なのか。だって水回りだし。でも、「自分でやらないと、退去の時に外せなくなりますよ」というもっともな説得をされて自分で付けることにしたのだった。


翌日、モノが届く。でかい。色はちゃんと合っている。アイボリーだ。
マニュアルみると、一応自力で設置工事をするための手順が細かく載っている。まずは、水道の元栓を閉めるところからスタート。水回りの工事はやったことが無いので、結構緊張する。
手順は大まかに言えば、既存の便座を外して新しいものを取り付け、タンクに繋がる水道管をばらしてスプレー用に分岐し、壁にリモコンを取り付ける、という感じ。作業中は便器を抱くように作業しないといけない場合もあるので、まずはトイレ掃除から入った方が良いと思われる。
便座を取り外すための工具などは、一応キットの中に入っているが、それでも、モンキースパナの径が合わなくて途中でホームセンターに買いに行った。ようは、この工事は一旦始めてしまうと完成か死かという状況に追い込まれるので、道具が揃っているか、きちんとトイレを済ませたか、をよくよく確認して取りかかった方が良い。
作業自体は、難しくない。今度また取り付けろと言われたら、小一時間もあればできるだろう。しかし、ようは慣れなのであって、普通ウォシュレットの取り付けに慣れている人というのはそうは居ない。だから、いちいち確認しながら、作業を進めるので、結構時間がかかる。それに配水管の取り付けを間違えれば、トイレ水浸しという最悪の結果を招くだけに、かなりビビリながらの作業になる。まあ、一回やればトイレの構造にやたらに詳しくなれるので、かなり貴重な経験にはなると思う。便座って、こういう風にマウントされているのか、とか、知らないなら知らないでつつがなく一生を終えてしまいそうな知識。


さて、試行錯誤しながらようやく試運転にこぎつける。まずはリモコンに時刻を設定(毎日の時間帯毎の利用状況を学習して便座の保温状態をコントロールするらしい、単に時計としても便利だ)。着座センサーも作動するし、スプレーノズルも動く。いよいよ通水試験。んが、水が出ない。手順を繰り返しても、水が出てこない。それ以外は完璧なのだが。この時ほど、「取り付け方解説ビデオ」が付いたINAXにすれば良かったと思ったことはない。しかし、ここはエンジニアらしく冷静にどこまで水が来ているかを順にチェックする。結論から言えば、タンクから分岐した水をフィルタ部分(ウォシュレットにはフィルタが内蔵されているのだ)に送るジョイントが奥までささっていなかったのが原因だった。やり直して、見事動作。素晴らしい。


後片付けをして、だいたい半日仕事。業者に頼むと5,000円ぐらいとのことで、そっちの方がいいじゃないかという声もあるが、まあ、日ごろは得られない知識と経験なのでやってみるのもいいかもしれない。なにより、トイレだって自分で改造可能、ということが分かったのは大きいな。

RD-X5 ディスク障害再び

僕はRD-X5を使っている。それを買った当時のフラグシップだからだ。

さて、東芝のHDDレコーダはディスクが結構壊れるという話を聞くが、うちのRD-X5も半年ほど前にディスクを認識しなくなった。その時は、試しに箱を開けてケーブルのゆるみを直したら復活した。

それから半年、録画中に突然予期せぬエラーを発生させて、フリーズするようになってしまった。RD-X5は電源ボタン長押しで、強制電源OFF可能だが、オペレーション中にこの操作をするとその時の録画内容は飛んでしまう。(U2ライブが飛んだ)どうも、片側のHDDが読み出し不能になっている模様。録画予約の詳細データもHDDに持つので、DVDに録画するという逃げ道もない。
これは本格的に修理を呼ぶか、HDDをバルクのものに換装するか、買い直すか、と思ったがとりあえず色々検索してみると、HDD不良よりもケーブル不良の発生頻度が多いという話が出てきた。HDDから異音はしていないし、スピンアップもしているように聞こえる。これはやはり、ケーブル?


背面のケーブルの山をまずは、デジカメで撮っておいて(これは本当にやっておいた方がよいと思う、普通RD-X系を使っているような人は、山ほど色々なモノをつないでいるはずなので)、一旦全部外す。蓋は背面3点、側面4点のネジを外し、後方上に引っ張ると外れる。なかを見てみると、HDDのコネクタあたりが、確かに怪しい。HDDのコネクタは本体正面に向いているので、フロントパネルを外さないとアクセスできない。フロントパネルは底面2カ所のネジをはずし、4つの爪を外すととりはずせる(ケーブルが生えているので、強引に引きはがさないこと)。

そうしてみると、正面向かって右側のHDDに接続されているリボンケーブル(普通のパラレルATAからコネクタを介して、細いリボンケーブルに変換している)が、かなり嫌な角度で曲げられ、かつ、コネクタのハンダの部分に強く接触している(被覆に跡が付いていた)ことが分かる。これって、設計に問題があるのでは?という感じ。その嫌な部分のテンションをとり、ハンダに接触しないように取り回しを調整してやる。

あとは、両側のHDDのコネクタを一旦はずして、再度つけ直した。(HDDとパラレルATA変換コネクタの部分。リボンケーブルの圧着コネクタ部分は今回は触らなかった)これでどうかな?と思って起動してみると、ちゃんと動いた。やはり、ケーブルだった模様。色々事情はあるのだろうが、ちょっとHDDのマウントとケーブルの取り回しが強引だなぁ、という気がする中身だった。
※似たような症状で困っているRDユーザーは多いと思うのでメモとして書いてみた。当然、このような処置をすると保証外になってしまうので、注意して下さい。

そして真空管アンプは壊れた

Photo: "LUXMAN SQ-N100."

Photo: “LUXMAN SQ-N100.” 2007. Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

嫌な予感はしていたのかもしれない。だから、普通は買った家電品の箱はさっさと捨ててしまうのだが、このアンプだけは箱も梱包材も保管してあった。

買って2ヶ月。ふとおかしいな?と思う。左側のスピーカーが鳴ってない。スピーカーの左右を入れ替えてみると、順当に右側が鳴らなくなる。

入力をCDから、他のラインに替えるが変わらない。ヘッドフォン出力も左側が死んでる。音量を一杯にして、ノイズを聴いてみると、やはり左側は出ていない、、っていうかボリュームのつまみが、幾らでも回るのはなぜ??え??と思って回していたらとれやがった。

そんなに安くない製品(オーディオのあっち側の世界観で言えば安いが、コンポとかの世界観で言うと高い)でつまみがとれるのは精神的なショックがでかい。さっきまでぴかぴかのアンプだった物が、一気にゴミに見えてくるから不思議だ。修理に出す気力が出るまで半日かかった。


さて、Luxmanの保証規定では、まずユーザー登録カードを返送しておかないと保証書が来ない。そんなものを送っているわけはないので、まずはそこから。1週間ちょっと待って(この時点で、かなり嫌になっている)カードが送られてきたので、サービスセンタに電話してみる。コールセンタみたいなものをイメージしていたのだが、普通に会社の修理部門の代表電話みたいな感じで、お姉さんが出た。

まずは、ユーザー登録番号を、と言われるかとおもいきや、「えーと、症状と、ご連絡先を書いた紙を入れて送って下さい」とのこと。お問い合わせ番号も、incident IDも無い。なんていうか、結構手工業な感じなのか。

とっておいた箱につめこんで、横浜の本社サービスセンタに送る。小さいけど15kgぐらいあるので、配送料が高い。っていうか、一番ローエンドでこれだから、もっと高いのが壊れた人はどうするんだろう?持ち込みなんだろうか。

また、1週間ぐらいして、いかにも技術者というか職人な担当者から電話がかかってくる。左チャンネルが鳴らないという症状が、再現しないんですよ、、。とのこと。ああ、ありがちだ。お客もメーカーも一番困るパターンだ。しかも真空管だから、運搬時の衝撃でどうにでもなってしまう。

それでも感心したのは、左チャンネルの系統の真空管については予防交換をしてくれたことだ。(ごねたわけではなくて、向こうからの申し出)ボリュームのつまみは、固定用のイモネジがはずれていたらしく、回りすぎて切れたLED用の配線と一緒にさくさく直されていた。全て保証期間内無償修理。


そして、まもなくアンプは戻ってきた。

まあ、壊れるのは仕方ないし、真空管なんだから多少動作が不安定なのもご愛敬だ。(ボリュームが取れるのはどうかと思うが)大きな会社の製品ではないので、修理してもらうまでがいささか面倒(クーリエが無いとか)だが、対応自体は満足できた。

去年は、けっこう沢山の家電品を買った(入れ替えも多かった)が、やはり壊れるものはある。ダイキンの空気清浄機は異音がしてクーリエ修理になったが、イオン化用ワイアーの張り具合が甘かったことが原因で、修理というか調整されて返ってきた。張りの甘さというのは、多分、ほんの数ミリの話だが、音はけっこう凄かった。

当たり外れの問題もあるが、最近のコストダウンで品質管理はちょっと落ちてるのかなぁ、という印象もなくはない。特に、微妙に調整がいるような部分は、デジタルなサプライチェーンではすくい取りきれないのだろう。