朝起きて、いきなり向かったインドの旧市街。そこには、イメージの通りのインドが有った。そうそう、インドって、多分こんなんだよね、というインド。
デリーは2つのパートに分かれている。ニュー・デリーの北側に、オールド・デリー、旧市街が横たわっている。オールド・デリーには、ニュー・デリーから歩いて行ける。Google Mapsを眺めて適当に歩いていたら着いてしまった。地図から読み取って頭に描いた景色は、実際といつも食い違っていて、それが面白いのだが、オールド・デリーの有り様は、僕の想像とは、やっぱりとんでもなく異なっていた。
ぐちゃぐちゃ。
車と、トゥクトゥクと、リキシャと、人と、犬と、牛と、馬と、山羊。それらが、自分のペースで、それぞれに何に合わせるでもなく、勝手に自分の行きたい方向に向かって動いている。車道と歩道の使い分けの境目は限りなく曖昧で、いったい何の商店なのか判然としない店舗が過半数。アメ横を30倍ぐらい混沌とさせるとこんな感じか、という気もするが、奥まった生地屋街的な路地に入ったら、二度と出て来られない気配。
交通ルールの遵守具合は、飛び抜けて最悪。道を切り開くために途切れる事無く発せられるクラクションと、それに呼応する怒号が響く。何かを責めたり苛ついたりしているわけではない。そこに怒りのようなものは、感じられないのが救いだ。それにしても、凄く五月蠅いわりに、速度はのんびりしたものだ。みんな急いでいるけれど、急いでいない。
ベトナムの轢き殺されそうな早いペース、殺気に似た活気とは違う。中国の1センチでも他人より前に行こう出し抜いてやろう、という感じとも違う。何千年も前から、多分こんな事を、この混沌とした都市でやってきたんだろうな、と感じる。とんでもなく年季の入った重々しい混沌なのだ。
週末のオールド・デリーには、ショッピングに来た若いカップル、何かの取引で行き交う男達、礼拝に来たイスラム教徒、スリ、、あらゆるインド人が居た。白人、その他アジア系は殆ど見かけず、日本人に至っては一人も居ない。1メートル進む毎に、インド人の密集した熱気で疲れが重なっていく。
迷宮のように続く街路から抜け出せない。前に進むしか、出る道が無い。Google Mapsも、進むしか無い事を示している。うんざりだ、ここから早く出て行きたい。
それにしても困った、両替商が無い。しかも、日曜日で銀行も開いていない。ATMだけは沢山あるが、入れたカードが飲み込まれて二度と出て来ないだろう。1ルピーも持たず、使い道の無い円貨とクレジットカードだけが、財布に入っている。何でも買えるが、何も買えない。タクシーにも乗れない、水も買えない。困った。。