足許を見る

Tokyo Tower
Photo: “Tokyo Tower” 2013. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S.

今日は疲れたなぁと思って、東京タワーを見上げて、そうして足許を見る。新しい靴は、まだあまり馴染んでいないので、少しきつく感じる。

ちょっといつもとデザインが違うやつなんだけど、それはそれで馴染んでいるよな。。ん。んん?なんか左右でデザインが違わないか?疲れてるのか。いや、間違いなく、違う。型番がちょっと違う。

靴を磨いたはずだけど、気がつかなかったけど、これ右と左で違う靴だよ!


人間て、日ごろいかに何も見ていないか、あるいは、自分がちゃんと見ていないか。無頓着にも程があると言うことか、あるいは、靴は同じハズという確信が、同じ靴に見せていたのか。それにしても、左右で違う靴を履いて歩き回っていたとは。

買ってから暫くほったらかしてあったので、レシートもとって無いしなぁと思ったが、店にまだ左右違いが残っているなら、買い取れば2足とも履けるようになるじゃん!名案!と思って靴屋に電話したらちゃんととってあった。

買い取るとは言ってみたものの、大変恐縮されて無償でお持ち下さいとの事。いつも同じ店で買うメリットって、こういう所にあるのか。

こうして晴れて、一度別れた左右の靴は、週明けにでも、再びまみえることができるだろう。

ささいな瞬間

Old Tavern
Photo: “Old Tavern” 2012. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S.

人は、ささいな瞬間の、ささいな言葉を覚えているものだ。

「最近、ギョウザを胡椒で食べるのがいいんだよー」

そこまで言うならやってみようか、と、S&Bのテーブル胡椒を醤油に溶いた。

まだ寒さの厳しい 1月、すきま風の吹き込む古い店内は、平日の5時をまわったばかりだったが、客でだいぶ混み合っていた。石油ストーブでどうにか温められたテーブルで、瓶ビールとシウマイ、ギョウザなんかをとって、3人で食べた。


その店はもう、すっかり建て替えられてしまって、その日の面影は無く、そして胡椒の話をしていた人もこの世には居ない。

喪失感は、そういう所からやってくるのだな。

ビール持ってきてちょうだい。

Hell bowl
Photo: “Hell bowl” 2014. Kanagawa, Japan, Apple iPhone 5S.

「ビール持ってきてちょうだい。」

箱根は大涌谷の飯屋で、常連のていでオヤジが店のおばちゃんに声をかけている。

そもそも大涌谷に常連というものが存在しうるのか。

「この地獄丼てのは何?」

それは辛いのよぉ、凄く。と、オバチャンはまるでお勧めしない


それは、つまり僕が今まさに食べているやつだ。大ぶりのチャーシューが、白髪葱と唐辛子で少し辛めに味付けされている。

自分的にはチャーシューも柔らかくて、結構美味しいんだけど。いや、この手の店のものとしては、むしろぜんぜんありだけどな。。