でかい卵サンド

Photo: “AMANOYA Traditional japanese egg sandwich.”

Photo: “AMANOYA Traditional japanese egg sandwich.” 2019. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

羽田空港、午前7時30分。別に腹は減っていない。

テレビか何かで取り上げられて有名な「あの」たまごサンドが、早朝につき、なんと今なら入手可能。

みたいな空気感を出して、そいつはANA FESTAの入り口で売られていた。まったくの初見だったが、あまりに気になったので買ってみた。卵だけで1,000円超え、どれほど凄いんだ。


大層なラッピングを剥がし、期待して口に運ぶ。ちょっと甘い鮨屋の卵を想像して食べると、全然甘くない蕎麦屋のだし巻き卵だった。ケーキ然としたカワイイ見た目をして、そっち路線なのか。

「天のや」のたまごサンドは、海外向けサイトでは”Traditional japanese egg sandwich”と書いてある。サンドイッチがTraditionalか?という疑問はつまり、「伝統的なだし巻き卵が」サンドされているという意味なのかもしれない。

同行者が買ってきたのは「肉の万世 ハンバーグサンド」で、万かつおみくじが付いている。お互い食べもので煽っていくスタイルは、ブレない。万かつおみくじは「吉」。今日のラッキーカラーは茶色で、ラッキーイートは肉団子。そこは、ハンバーグじゃないの。


卵だけで1,000円超え、それはつまり、凄く量が多いという事(12カットも入っている)。ハンバーグサンドの方は初めて食べたが、カツサンドより重たいサンドイッチは初めてだよ。いずれにしても、野菜がなさ過ぎる。

ヘビー級のサンドイッチ達を、未だ朝焼けのラウンジで平らげる。胸やけも、する。

人の踊りなんか見て、何が楽しいんだ一体

Photo: “Countertop dancing at Coyote Ugly.”

Photo: “Countertop dancing at Coyote Ugly.” 2018. Tokyo, Japan, Apple iPhone 6S.

人の踊りなんか見て、何が楽しいんだ一体。と思っていたが、意外と面白い。

六本木の裏路地の、自分では絶対に行かない、というか行けない店。チャラい、という表現がぴったりのマーケティングのメンズが二次会だか三次会で僕らを連れてきた。一見すると、アメリカンなテイストのスタンディングバーだが、無数の下着が天井から無数にぶら下がっていたり、DJブースが巨大だったり、フロアーの店員が基本女性だったりする。

この店は基本、フーターズみたいな感じの店で(tabelogにも載っている)、ただし、歌と踊りにはずっと気合が入っている。カウンターの上で、ダンサーが踊る。カウンターに土足、というのが、その時点で奇妙に日常をぶっ壊しているというか、生理的に凄い違和感があっていい。


人の踊りなんて見て、何が楽しいのか、とだいたいそんな風に思って居たのだけれど、実際見てみると結構楽しい。写真はどんどん撮ってどんどん上げてね、というスタンスなのも面白い。領収書が落ちる気はしないけれど、いたって堅気な店なのだ。テキーラショットをダンサーに飲ませてもらう、というアトラクションがあって、連れのオッサンが良い感じに壊されていく。

カウンターの上で踊る客を、そういえば見たことが有る。アマンドの裏の方にあったクソなバーで、カウンターの上で踊る白人客の男を見た。ずいぶん昔の話だ。

バーテンダーはなぜ風邪をひかないのか

Photo: “Daydream in the bar.”

Photo: “Daydream in the bar.” 2019. Okinawa, Japan, Fujifilm X-Pro2, Fujifilm M Mount Adaptor + Carl Zeiss Biogon T*2,8/28 ZM, PROVIA film simulation.

数年前に「かぜの科学:もっとも身近な病の生態」という、なかなかに分厚い本を読んで、もはやだいぶ内容は忘れてしまったのだけれど、風邪やインフルエンザの感染経路の多くが、目や鼻であるという実験結果が印象的だった。(風邪の人を閉鎖施設に集めて、鼻水だらけの手でポーカーをえんえんとさせるとか、凄い対照実験が行われていた)人の手は、容易に感染源に触れるし、更に無意識に1時間に数十回、自分自身の鼻や目を触る。そして、その粘膜を経由して、感染が発生するのだ。だから、感染を避ける実効的な習慣とは、目や鼻を触らないようにし、手洗いをきちんとすること、その2点に尽きるという。

この分厚い本を読んでから、出先で素手で目や鼻に触らないように気をつけ、トイレに入る度に念入りに手を洗っている。「よく手を洗いますねぇ」とトイレで声をかけられるレベルで、という事だ。そうして、それが習慣になって以来、インフルエンザにも寝込むような風邪にもかかっていない。(別の事で死にかけはしたが)


さて、バー。基本一人で行くから、やることと言えば、バック・バーに並ぶ酒を眺めたり、バーテンがカクテルを造る所作を眺める事ぐらいしかない。そして、彼らの立ち振る舞いを見ていて、ふと、顔を触ってるバーテンって見たことないなと思う。バーテンダーって、顔を触らないように気をつけているとかあるの?

「はい、それは厳しく言われますね。首から上を触るなと。」

そう答えるバーテンダーは、頰に手を当てて考えているようなポーズをしているが、実は手は顔に触れていない。そうなのだ、(まっとうな)バーテンダーは顔を触らない。そして、彼はこの仕事について以来、風邪をひいて寝込んだ事はないという。見習いから入って、店を持つまで15年はかかっているだろう。

バーテンダーはカウンターが職場だから、他の接客業に比しても顧客との距離が近い。バーに来るいろんなコンディションの人と、接する立場にあるだろう。それにしては、風邪がうつったりしていないのかもしれない。飲み物をつくる立場として、顔を触らないというルールがある珍しい職種であることが、結果として風邪にかかりにくい振る舞いになっているのかもしれない。

そんな事を話しながら、そうは言ってもこの元剣道部のバーテンダーは、相当に体が頑丈そうだな、とも思った。