人を詰める技術

イベントでCRMシステムの宣伝ビデオを見ている。なんか、ITを間違った方向に使うとこうなる、という感じしかしない。シナリオは、外回りの営業がリモートでCRMを活用して、ビジネスの成果になる!みたいな、 ウンザリするヤツ。クライアントが出した結論から逆算してライターが書かされた「やっつけ仕事」。

シーンは昼間の街中から始まる。アポが早く終わったので、もう一軒客先訪問したい。そんなとき、このソリューションを使えば・・。いや、昼時ならうまい店でも探してゆっくりしろよ。


こういう「効率化」って、技術が人を詰めていく絵しか見えない。空いた時間を増やして、早く帰りましょうとか、そういう方向性に絶対ならない。もちろん、これは製品の宣伝ビデオだから、空いた時間で昼寝しましょう、とは描けない。でもこうして作られたイメージは、やがては真実になり、未来になってしまう。映画が予言した未来を、人が無意識になぞるように。

夕方。営業もうまくいって、今日は打ち上げだっ!でビデオは終わる。仕事が早く終わって、会社の人間と一緒に酒を飲むのか。これは世界にも類を見ないソリューションです、と言っているけど、確かにCRMをこんな風に使うのは、もちろん日本だけだね。


こう書いたのが2014年。下書きのまま放置して、2018年現在。国境を越えて繋がったCRMにより、国外の人間を詰めることすら可能。

技術の進歩は全く素晴らしく、次に回るべき客先の指示は遅かれ早かれ AI が出すようになるだろう。あ、でも巡回セールスマン問題は量子コンピュータの領域か。

全てが違ったガーリック・テキサス・ワッパー

Garlic Texas Whopper.

Photo: “Garlic Texas Whopper.” 2017. Tokyo, Japan, Apple iPhone 6S.

テキサス州でしか食べられない、地域限定ワッパー、テキサス・ダブル・ワッパー。もともとバーガーキングは好きだが、この限定ワッパーは大変に美味しかった。当分テキサスに行くことも無さそうなわけで、いつかまた食べられたらいいなぁ。。

と思って居たら、目の前のバーガーキングにでかい垂れ幕が。ガーリック・テキサス・ワッパーとは何だ。飲んだ後にワッパーで仕上げると、翌朝大変にもたれた状態で目が覚めることを、学習している。しかし、テキサスが食えるなら、いたしかたない。


早速入店。飲み物?はもちろんコーラで。テキサス・ダブル・ワッパーの美味しいポイントは、ベーコンとハラペーニョ、そしてマスタード。オトナ味だけどこれは美味い。

深夜、それなりに荒れた空気感の、某所バーガーキング2階にて開封。んーー、なんか見た目がちょっと違う。そういえば、サンドイッチの名前自体がちょっと違っていたような事に気がつく。まあ、国も違うから多少はね。。

かぶり付く。んーー、なんか全然違う。カリカリベーコン入ってない、ハラペーニョ入ってない、マスタード入ってない。ケチャップ入ってる、ガーリック沢山入ってる、そしてオニオンリングが入ってる?!なんか、凄く濃厚、を超えてしつこい。で、凄く違う。

一週間限定でもよいので、テキサス・ダブル・ワッパーを日本でも出してください。お願いします。

日常なるもの

“Sleepy dog.”

Photo: “Sleepy dog.” 2012. Bangkok, Thailand, Apple iPhone 4S.

大晦日に、風呂の掃除を終えて、ハテナブックマークのリストを眺めると、いろんなエントリーが、not found やforbidden になっている。亡くなってしまった人のエントリーが、まだ残されている。誰かが、そのスペースにお金を払っているのか、あるいは管理者の怠惰なのか。かと思えば友達の blog は削除されている。別に彼は元気だし、どこに行ったわけでもない。多分、忘れているだけなのだろう。

そんな感じの、あまりもう有効でもなくなってリストだけれど、そこにある blog なり、昔ながらのホームページなりを僕はしつこく読んでいて、そして僕もしつこくこのページを書き続けているのだ。


「今年は、正月の華やかさが無いねぇ。」

とタクシー運転手に話しかけられる。降りてくる人にも華やかさが無いと、運転手は言う。まあ、確かに僕にも華やかさは無いな。今の時代、毎日が日常で、盆暮れ正月だなんだという季節的な特別感は無くなっている。僕は、実は、それはそれでよいと思って居るから、それを嘆く運転手に話を合わせながらも、幾分申し訳ない気分になった。

最近の若い人は、あまりそういう事にお金を使わなくなっているしね、という方向に話は進む。記念日に特別なことを、というよりも、満たされた日常を積み重ねる事に重きを置く。それがポストバブルの、気分。

丁度、実家に帰る電車の中で、「モチベーション革命」という、割とうんざりくる本をほぼ読み終わっていた。(Kindle Unlimited で無ければ、決して読むことは無かっただろう)そこに書かれていたテーマは、ちょうど運転手が言っていたこととだいたい同じようなものだった。

僕の物事への見方とか、感想とかは、本の中で「最近の若い世代」と一括りにされているクラスタに近い。既存のシステムとして、こうあるべきと作られたものではなくて、新しく作り替えられていくもの、そちらに手を貸したいし、そちらで必要とされる人でありたい。成功の証にとっておきのワインを飲むよりも、サイゼリアのマグナムボトルを仲間と楽しく飲む方がよいのだ。

そんな事を考えながら、タクシーを降りた。


犬の写真なら、タイで沢山撮ったよな、と思ったけれど、噛みつかれるのが怖くてさっぱり写真が無かったよ。