人を詰める技術

イベントでCRMシステムの宣伝ビデオを見ている。なんか、ITを間違った方向に使うとこうなる、という感じしかしない。シナリオは、外回りの営業がリモートでCRMを活用して、ビジネスの成果になる!みたいな、 ウンザリするヤツ。クライアントが出した結論から逆算してライターが書かされた「やっつけ仕事」。

シーンは昼間の街中から始まる。アポが早く終わったので、もう一軒客先訪問したい。そんなとき、このソリューションを使えば・・。いや、昼時ならうまい店でも探してゆっくりしろよ。


こういう「効率化」って、技術が人を詰めていく絵しか見えない。空いた時間を増やして、早く帰りましょうとか、そういう方向性に絶対ならない。もちろん、これは製品の宣伝ビデオだから、空いた時間で昼寝しましょう、とは描けない。でもこうして作られたイメージは、やがては真実になり、未来になってしまう。映画が予言した未来を、人が無意識になぞるように。

夕方。営業もうまくいって、今日は打ち上げだっ!でビデオは終わる。仕事が早く終わって、会社の人間と一緒に酒を飲むのか。これは世界にも類を見ないソリューションです、と言っているけど、確かにCRMをこんな風に使うのは、もちろん日本だけだね。


こう書いたのが2014年。下書きのまま放置して、2018年現在。国境を越えて繋がったCRMにより、国外の人間を詰めることすら可能。

技術の進歩は全く素晴らしく、次に回るべき客先の指示は遅かれ早かれ AI が出すようになるだろう。あ、でも巡回セールスマン問題は量子コンピュータの領域か。

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