僕の買った個体は流通在庫かなにかだったのだろう、パームレストには Vista のシールが貼ってあったが嬉しいことに実際には XPがインストールされていて、フラグシップモデルにもかかわらず、価格は定価の半値以下だった。Core 2 Duo 2.5GHz で動く XP はとても速い。SSD でも何でもない、SATA のディスクだが容量は 250GBもある。2.5インチドライブなので動作は速い、1.8インチドライブの遅さにはうんざりするが、枯れに枯れた 2.5インチの大容量ドライブって、本当に速い。
ボディは APS サイズセンサの一眼を使い慣れた人には大きいが、銀塩一眼と比較するとほぼ同じ。その中に、フルサイズセンサや手ぶれ補正を組み込んだのは、たいしたもの だ。操作体系は直観的で、動作が速く、メニュー階層も浅い。マニュアル無しで一通りの操作が可能。デジカメ的にどうしても必要になってしまうボタン類 (ISO, ホワイトバランス)は、きちんと1機能1ボタンで用意されているのは好印象。ドライブモード、露出補正のボタンも、右グリップ上にまとめられている。その 結果、グリップ構造やボタン配置のテイストは、一眼レフというよりも、カムコーダに近くなっている。ボタン操作をしながら絵を作っていくデジカメの操作形 態を考えると、これはこれで良い。旧来の一眼レフの配置との互換性を重視した、他のメーカーの配置よりも、デジタルという観点では、このアプローチは正し いように感じる。新しい撮影方法には、新しいインターフェイスが必要だ。データ保存で言うと、圧縮 RAW が使用できるのは便利で、通常は圧縮 RAW のみで記録している。圧縮と言ってもデータは可逆方式であり、メーカーの Web 上の説明によれば、通常の RAW との再現性等の違いはないという。RAW 現像ソフトウェアとの互換性も問題ないようだ。どうしても撮影枚数が多くなってしまうデジカメで、データ量が 7割程度になるのは助かる。
最後に、気になる点。まずシャッター音とミラーショックについて。この二つについては、あまり褒められたものではなく、この価格帯のカメラとしては 物足りないと感じる。バタッというようなシャッター音は、その音に何かの愛着を抱くという類のものではなく、質感は低い。操作ダイヤルは軽めの印象で、慣 れるまでは、意図せず露出補正や絞り変更がかかってしまう場合があった。また Nikon のダイアルのような「押し込む」というアクションは無い。バッテリの持続性は、寒冷地でも満足のいくものだが、それでも使い方次第では 1日持たないので、予備のバッテリは欠かせない。カメラの向きを検出するセンサについて言うと、カメラの設定を見ようとレンズを地面方向に向けた場合に、 縦位置と誤検出する場合があり、少々不便を感じる。また、CF スロットと、MS スロットが一つずつ装備されているが、これは CF x2の方が嬉しい。もはや SONY だから MS で仕方ない、とは思えない。