と言われて、ついて行ってみたらなんで陸上競技場やねん。確かに富士山は近いけど、曇ってるし、第一夜中で何も見えないし。
世の中には変わった人たちがいて、24時間マラソンリレーなるものをやっているらしい。人数制限とかは特になくて、とにかく襷をもって24時間走り続けるというもの。
なんでこんなイベントを夜中の3時に見ないといけないんだ?と思っていると、靴ひもにセンサーをつけられて、襷がわたってきた。なるほど、これでゴール近くのセンサーを通ると、周回数がカウントアップされるわけか。なかなかハイテクなのね。
こんなにちゃんとしたトラックを走るのって初めてだった、、。
(来年もよろしく、という声は聞こえなかったことにしておく)
年: 2005年
なんでまた俺はマックを食っているのか
なんでまた俺はマックを食っているのか。
そう、旅立ちの前にはマックを食うのだ。成田空港のマクドナルドには、2種類の人間が居る。日本食にうんざりして、母の味 McDonald’s を食う不良外国人。そして、海外出張の直前だというのに少しでも飯代を浮かせたいジャパニーズサラリーメンだ。
俺は別に飯代を浮かせたいとは思わないが、決まり事なのでビッグマックを食べる。うーん、うまくない。このグローバルスタンダード(!)なうまくなさは、すごい。
それにしても、ワクワク海外旅行が今から始まろうとしている成田という場所にあって、これほど客の目が濁っている店もないな。僕の前の背広姿の若い 男は、怠そうにチーズバーガーを食っている、多分味は分かってない。横のおやじは、雑誌を眺めながら、ただの義務感としか言いようのない動作でポテトを食 い続けている、残せばいいのに、飢えてるのか。
早起きのせいで腹は減っていたので(午前中の便なんかにするんじゃなかった)あっという間に食い終わる。気分ワルイ。俺は、カップ、包装紙諸々を、残りのポテトもろともゴミ箱に放り込むと、イミグレーションに向けて歩き出す。帰ってきたら、絶対スーパーサイズ・ミーを見よう、と誓った。(もちろんマックを食いながら見るのだ)
IBM は lenovo に何を売り渡したのか
IBM が PC 事業を中国の lenovo group に売却。その正式発表は北京で聞いた。薄っぺらい China Times の一面に、lenovo の CEO が笑みを浮かべながら写っていた。それは、PC の歴史の一つの幕引きであり、新しい時代の幕開けだ。IBM の栄光ある PC 事業を、自国の企業が買収する。その誇りに満ちた報道を見て、IBM は自分が何を売り渡したのか、本当に分かっているのか?という気分になった。
IBM にとって、シェア No.1 になる望みがもはや無くなり、技術的なブレイクスルーもほぼ期待できないこの事業を売却するという結論は、今の路線から考えると多分正しい。例えば、 HBR のコラムみたいな場所(!)では肯定的に論評されると思う。収益の低いお荷物部署から、PC 専業メーカーの花形部署への昇格、可能性を秘めた中国資本への転籍。これを、肯定的に捉える従業員も居るだろう。
しかし、良い面ばかりではあるまい。ハードウェアを軽視し、効率が悪いという名の下に、事業をどんどん売り渡す。(どんどん買う、というのもある が)PC 事業さえ売却される、次は俺たちか、残された一部の従業員はそう思っただろう。(この数年、業界に身を置く者なら誰でも、似たような不安を感じているはず だ。もっとも、その程度の刺激に耐えられなければ、もうこの業界に居る資格は無いのかもしれないが)今回、サーバー部門は売却されなかったが、数年後に サーバー部門が売却されない保証がどこにあるだろう。IBM はコンサルティングファームになりたいのかもしれないが、ならば、そろそろ自らの社名を変える時だ。
市場の変化とともに企業が変わっていくのは、それは必要なことだが、自分たちの根底にあるものまで忘れてしまう危険もある。高い報酬、良い待遇だけ では決して買うことのできない、従業員の忠誠心・高い精神性は、従業員に対する尊敬から「しか」生まれない。シェアや売り上げの Excel シートを眺めているだけで、製品やサービスが出来てくると思ったら大間違いだが、どうも「偉くなった人」はそういうことを忘れがちだ。IBM は技術の会社であって、技術で大きくなった。しかし、業界全体の傾向として、いまや誰も技術なんて大事だと思っていない。足りなかったら、買ってくれば良 いと思っている。でも、本当にそうか?ビジネスコンサルティングだけでは、工場のゲート一つ開かないのに。
買収後も企業文化は維持される、という報道を、鵜呑みにする人間は少ないと思う。(何も変わらないなら、売却することも、買収することも無い)環境 が変われば、そこから生み出される製品もまた、変わる。製品は CAD でつくるものではなくて、人がつくるもの。この文章を書いている ThinkPad の後継が、果たしてどんな製品になるのか。ThinkPad はその思想のある種の保守性に於いて、数あるノート PC のブランドの中でも最右翼にあるのであって、そのユーザーもまた、最も厳しい目でこのブランドの製品を見ている。そのお眼鏡にかなう製品を出し続けること は出来るのか。
Excel シートしか眺めなかった時代の Apple の迷走、例えばそんな風になって欲しくない。一人のユーザーとして、そう思っている。
注:北京の量販店を見ると、だいたい lenovo, Sony, IBM が互角に渡り合ってる感じだった。それに、三星が続く感じ。