お肉が食べられないなら、お魚を食べればいいじゃない

Photo: 多けりゃいいってものみたい 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "多けりゃいいってものみたい" 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

ウイルス、ウイルス。人類を暗黒時代から救い出した抗生物質も効きません。栄養をとって、早寝早起きをして、あとは神にでも祈っとけ!って、おばあちゃんの知恵袋か。で、ウイルスとプリオンは何が違うんですか。よく分かりません。


まあ、そんな高尚な話はどうでもいい。実際問題として、SARS で出張が取りやめになりそうな人がいたり、夜中の牛丼屋が閉まっていたりして困ったモノだ。ふむ。お肉が食べられないなら、お魚を食べればいいじゃない。 ということで、お鮨を食べましょう。なんと大阪で鮨を食べるのは初めてだ。(また、大阪に居るのか、俺は)現地の人に、こっちではちょっと有名、という店 に連れて行ってもらった。
「すごいですね、刷毛で醤油を塗るんですねぇ。初めてなんですよ、どうやるんですか?」
「ん?俺も初めて」
「、、。」

あと、食べ散らかしてあるのではなくて、こぼれる程ネタを乗せるというのが、この店のコンセプトなので。盛りつけが、ちょっと西海岸入ってる気がす る。(出てきた状態で、このようになっている)味は、うーん、美味しかったような気がする。新幹線の終電を逃して、怪しい資料作って、とにかく腹が減って いて、そこにでかい握りとビールっていうのは、なかなか良かった。飯としての鮨、みたいな。


なんだろう、関西の料理って、なんとなく「癖」を嫌うところがあるような気がする。美味しいんだけど、なんか、最後の一手が足りないというか、ひっ かかりが弱いというか。素材の味は生かすんだけど、とんがってる部分は均しちゃう。誤解を恐れずに言うと、「不味いかも」みたいなスレスレの部分が無い気 がする。

1977/2/25, 1945/9/10

WWE の試合をバグダッドでやっていた。米軍の M1 戦車が取り囲む中にリングをつくって、兵士相手の慰問だ。奴らは、世界の何処にでも、エアコンと、ステーキと、パーティーを持ち込む。ベトナムと、何が違 うんだろう。戦争は、やっぱり勝たないとダメだ。負けたら、どんな屈辱も受け入れなくてはならない。でも、一番良いのは、戦争に関わり合いにならないこと だ。それは、本質的に不愉快な出来事なのだ。

易占いで”波風を立てるな”と言われた。でも、わたしはそんな忠告を気に留めず、「ワインやステーキやエアコンが欲しいだなんて、あなた自身がベトナムの愚を犯そうとしてるわ」と、フランシスにテレックスを送った。*1


よく分からないのが、たった半世紀前に、連合国 (United Nations) の占領軍に「占領」された日本人が、イラクに占領軍を送ろうとしていることだ。それは、国連 (United Nations) の旗のもとですらない。いかなる場合にも、戦争という「状況」に参加してしまうことは、賢いやり方だとは思えない。しかも、これは他人の戦争だ。

藤沢の駅にて米兵の一隊四、五十人ばかり乗車せむとせしが、客車雑沓して乗るべからず。米兵日本人乗客を叱咤し席より追い払ひて乗り行きたり。(中略)これかつて満州にて常に日本人の支那人に対して為せし処。因果応報、是非もなき次第なりといふ。*2

注1:1977年 2月 25日の日記、フィリピンで撮影をする夫フランシス・コッポラへのテレックス、『地獄の黙示録』撮影全記録, エレノア・コッポラ, 小学館文庫, 2001年
注2:1945年 9月 10日の日記、隣家の人に聞いた藤沢駅での昨日の出来事, 摘録 断腸亭日乗(下), 岩波文庫, 永井荷風, 1987年

新宿の立ち飲みイタリアン、または、人命を扱う仕事

寒い、あまりにも寒い、もう風が冷たくて無理。どっか店に入ろう。なるべく地下道で動きたい。約束の時間まで少し間があったので、気になっていた店に寄ってみた。もちろん、地下街から行ける。

新宿三丁目の地下街から、ぽっとセゾンのビルに入ると、目当ての店イル・バーカロがある。店の奥は普通のイタリアンのレストランだが、入り口あたり が、立ち飲みのカウンターになっている。前に通りかかったときは、早かったせいかまだ開いていなくて、恨めしく思った。今日は、ちゃんとやっている。

立って飲んだり食べたりするのは、慣れないとちっとも楽しくないのだが、値段の魅力と、短時間でなんというか濃い楽しみ方が出来て良い。万一外しても、すぐ逃げられるし。

肴は凄く種類があるけど、2種撰んだ。見た目がラブリーな甲イカ(ほんとミニなイカ)をニンニクとオリーブオイルでマリネしたやつ(一杯 80円)。それから、ツブ貝とオリーブを煮たやつ(2切れで 80円)。盛りつけてカウンターで渡してくれるので、テーブル代わりの樽の上に並べて、プロセッコを煽る(200円)。イカはニンニクの香りが立って美味 しい。ワインもちゃんとしてる。それに、白のグラスも飲んで、御一人様 590円、滞在 10分強。こういうのって、とっても正しい、そんな感じ。


そのあと、友達と待ち合わせて、ちょっとした飲み会。病院勤めの人がいて、けっこうえぐい話もしていた。人の命を扱う仕事は出来ないなぁと思う。「夜には叫んでるのよ、恐いって。みんなそうよ」死の恐怖に苛まれる声にだって、人は慣れる。


注:エスプレッソは 100円也。感想は、立ち飲み部分だけの感想。