テンピュールの新製品

僕は、テンピュールに絶大な信頼を寄せている。

ベッドもテンピュールだし、枕もテンピュールだ。座るときは、テンピュール腰枕を使っている。畳の上で死にたいという人もいるが、僕はテンピュール の上で死にたい。この一週間、異常に忙しくてまともにテンピュールの上で寝る時間もなく、ソファーの上で寝たり、段ボールを敷いて寝たり、エアキャップに くるまったりしていた。久しぶりにゆっくり寝るテンピュールの素晴らしさ!

そんな僕が今一番気になっているのは、テンピュール掛け布団は、いつ発売されるのか、ということだ。(発売されません)


注:段ボールで寝るのは、ホント、体力を消耗しますね。

謎都市

Photo: 発進 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "発進" 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

国道の真ん中でオイルを吹いてレッカー移動となった友人のポルシェが、ようやく修理されて戻ってきた。久しぶりに乗せてもらって、例によって思いつきで迷走してみる。

「コースが設定されました」

壊れる前はオーディオはテープしかかからず、紙の地図さえ装備されていなかったが、修理ついでにいきなり HDD ナビが付いて、CD も mp3 もかかるようになっていた。日本のカーナビは、間違いなく世界で最も進化している。なるほど、CD をたたき込むと、片っ端からエンコーディングしてくれるわけだ。PC の世界ではもはや当たり前の機能だが、これは便利。埃を被った U2(!)のテープを引っ張り出してかけていた頃は、それなりに雰囲気もあって(なにせ、年式の古い車なので 80年代の音楽がとても似合う)、それはそれで良かったのだが、やはりハイテクの快適さというものはある。

「まもなく目的地付近です、ガイドを終了します」

着いた所は、なんというか、うらぶれた港湾都市という風情。明らかに治安が良くない感じだ。派手目のジャージでヤンキーな家族連れが闊歩し、エルグランドが走り回り、だだっ広い道路にゴミ袋が舞っている。ここで晩飯喰うんですか。本気ですか。


客が誰も居なかった割に、焼き肉はかなり美味しくいただいた。支店が、実は新宿東口にあるという事実が無ければ、ちょっとした小旅行気分である。いや、むしろ、新宿で食べられるものを、この海沿いの、謎都市で食べる事こそが、正しいのだと思う。でも、「明日早いから」とか言って、帰りに高速を使って しまうのは、よくよく考えると反則のような気がするし、パワーダウン感を否めない気もする。どうせ高速に乗るなら、反対方向に行くべきなのだ、きっと。


注:この文章はフィクションです、実在のエルグランドには何ら関係ありません。

夏祭りで立ち飲み

Photo: 提灯 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "提灯" 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

「散歩の達人」の行事カレンダー(?)を眺めてみれば、今月はいたるところで夏祭りが行われている。仕事をさっさと切り上げて、ちょっと祭りに行ってみるか。駅から薄暗い参道を歩くがやけに静かで、もう終わっちゃったの?と懸念する。無数の提灯が、落ち着かない盛夏の夜気に映える。眩く輝く提灯を見 ていると、少し幻惑されて、言葉を失う。何人かの浴衣姿の女の子とすれ違い、煌々とした光りの壁を抜けると、夜店の喧噪が聞こえてきた。


都心の祭りだけにテキ屋の怪しさもひとしお、メニューもバラエティーに富んでいる。時間が遅いので、もう誰も踊らない仮設舞台の袖に陣取る。感性に まかせて順番に変わったつまみを買い出しに行くが、負けず嫌いが揃っていて、メニューはだんだんエスカレートしていく。鮎塩焼き(絶対コレを食べる、と主張する人がいた、思い出の味なのか)、豚玉(一番売れている店だけあって、意外とイケた)、あげ餅(職人肌のじいさんが揚げていて、美味かった)、タイ ラーメン(辛かった、海老を食べるのはちょっと恐かった)、インドカレーとナンのセット(ナンがでかすぎ、もはやこれは食事だ)、ドラえもん焼き(ベビーカステラ、中身は無い)。ちょうど胸の高さの舞台の床に酒と夜店の食べ物を並べる。ちょっとした立ち飲みみたいで、快適。

星空の下(見えないけど)、テキ屋均一価格 500円の缶ビールを煽りながら、行き交うヤンキー客を眺める。いったいどっから来たのか知らないが、こんな都心でもちゃんとヤンキーな人が居るのだ。奴らは、地面に落としてしまった金魚で大盛り上がり、微笑ましい。普段、地縁的つながりなんて何もない都心の神社に、突然、超ローカルな祭り空間が発生。そしてヤンキーとテキ屋と(多分)ヤクザが現れる。ちょっとバイオレントな香りもする、祭りの夜。踊るわけでも、花火が上がるわけでもないが、十分に夏祭りだなぁ。


注:金魚のうち何匹かは助けられ、何匹かは生け垣のあたりにうめられてしまった。