夏祭りで立ち飲み

Photo: 提灯 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "提灯" 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

「散歩の達人」の行事カレンダー(?)を眺めてみれば、今月はいたるところで夏祭りが行われている。仕事をさっさと切り上げて、ちょっと祭りに行ってみるか。駅から薄暗い参道を歩くがやけに静かで、もう終わっちゃったの?と懸念する。無数の提灯が、落ち着かない盛夏の夜気に映える。眩く輝く提灯を見 ていると、少し幻惑されて、言葉を失う。何人かの浴衣姿の女の子とすれ違い、煌々とした光りの壁を抜けると、夜店の喧噪が聞こえてきた。


都心の祭りだけにテキ屋の怪しさもひとしお、メニューもバラエティーに富んでいる。時間が遅いので、もう誰も踊らない仮設舞台の袖に陣取る。感性に まかせて順番に変わったつまみを買い出しに行くが、負けず嫌いが揃っていて、メニューはだんだんエスカレートしていく。鮎塩焼き(絶対コレを食べる、と主張する人がいた、思い出の味なのか)、豚玉(一番売れている店だけあって、意外とイケた)、あげ餅(職人肌のじいさんが揚げていて、美味かった)、タイ ラーメン(辛かった、海老を食べるのはちょっと恐かった)、インドカレーとナンのセット(ナンがでかすぎ、もはやこれは食事だ)、ドラえもん焼き(ベビーカステラ、中身は無い)。ちょうど胸の高さの舞台の床に酒と夜店の食べ物を並べる。ちょっとした立ち飲みみたいで、快適。

星空の下(見えないけど)、テキ屋均一価格 500円の缶ビールを煽りながら、行き交うヤンキー客を眺める。いったいどっから来たのか知らないが、こんな都心でもちゃんとヤンキーな人が居るのだ。奴らは、地面に落としてしまった金魚で大盛り上がり、微笑ましい。普段、地縁的つながりなんて何もない都心の神社に、突然、超ローカルな祭り空間が発生。そしてヤンキーとテキ屋と(多分)ヤクザが現れる。ちょっとバイオレントな香りもする、祭りの夜。踊るわけでも、花火が上がるわけでもないが、十分に夏祭りだなぁ。


注:金魚のうち何匹かは助けられ、何匹かは生け垣のあたりにうめられてしまった。

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