Photo: “Bouillon for breakfast.” 2016. Tainan, Taiwan, Apple iPhone 6S.
台南、二度目。ホテルの朝食は予約していない。台湾人が週末の朝に食べるものを食べたい。Xiaomi の地元アプリで、繁体字を解読しながら牛肉湯の店を見つける。Xaomiの画面を見せると、タクシーの運転手は直ぐに場所を把握した。
店は台湾のよくある路面店。通路に面したカウンターで、青い Tシャツ姿の大将が赤身の固まりを切っている。既に熱気を帯び始めた台南の朝。
牛肉湯は熱いスープに、赤身の牛生肉の細切りを入れて、しゃぶしゃぶというか湯上げのようにして喫する料理。一緒に、魯肉飯も頼みましょう。朝飯には重そうだが、上品なスープに、脂っ気のないさっぱりした肉で、とても軽く感じられる。そこに生姜のアクセント。暑い台南で生肉?とも思ったが、表面にしっかり熱が入るし、これはとても気候に合っているように感じた。
食べ進んでいると、店の人がレンゲにスープを取れという。卓に備え付けの、「米酒」と書かれた調味料を入れてくれる。沖縄に於けるコーレーグースのような、そんな風味が付く。なるほど、レンゲで試して気に入ったらどうぞという事か。そんな細かい気遣いを、地元の繁盛店で受けられるとは思わなかった。
向かいのテーブルでは、小さな女の子と父親が、親子で朝ご飯だ。シンプルな肉スープを前に、いささか退屈げにしている彼女にとっても、やがては忘れられない懐かしい故郷の味になるのではないかな、と思う。
なんだろう、何年後にでも戻ってきて食べたい、そういう味なのだ。お会計は全部で 200円ぐらい。安いね。