松濤で、ハンバーガーを食べて、タイポグラフィーに遭遇する

uglydoll

Photo: "uglydoll" 2011. Tokyo, Apple iPhone 3GS, F2.8/37.

人間ドックの検査結果待ちで、一時間以上時間が空いた。松濤の方に向かって歩いて見る。

DINERと書かれた看板を見て、店に入ってみる。きちんと掃除と修復をすれば、それなりにお洒落なカフェで通用しそう、でも、明るい昼間の光ではアラが目立つ、ダイナー。そのちょっと安っぽくて、ずさんな感じが、きっと渋谷っぽくて、自分が年をとったからそういう事が気になるだけなんだと、考え直す。

注文はクラシックハンバーガー。カラオケボックスで出てきそうな、編み編みのポテトフライがたまらなく残念だが、ハンバーガーは結構まとも。小指をハンバーガーのおしりに掛けながら食べると、具がずれない。なんかテレビで見た気がするので試してみる。確かに。


そのまま少し歩いて、松濤美術館まで行く。芹沢銈介展。型絵染の展示。自分は染織に興味は無いと思って居たが、屏風や暖簾に織り込まれた文様は、新しい日本語のタイポグラフィー。存外楽しい。いろはがるたを題材にした屏風絵。難しくない、民芸と芸術の間のような作品。年季の入った居酒屋の、手水場にでもかかっていたらしっくり来そう、と言ったら失礼だろうか。

時間が来て、病院に向かって歩く。開店前のショップ、ブラインドの隙間からジッとこっちを見てる赤いヤツが居るぞ。

氷川丸

Photo: 2001, 氷川丸, Contax T2, Fuji-Film.

Photo: 2001, 氷川丸, Contax T2, Fuji-Film.

山下公園に浮かぶ氷川丸。そういえば、一度も乗ってみたことが無い。
学生時代を横浜に過ごしたから、この船のある景色が、僕の記憶の中に沢山残っている。

もともと、旅客船として建造され、戦争中は病院船に、戦後は引き揚げ船として活躍した。戦争中は機雷を三回受け、それでも沈まなかった、強運の船。同時期に建造された姉妹船の中で、戦後まで沈まなかったただ一隻の船なのだそうだ。

一度も中に入った記憶はなくて、なんていうか眺めているのが良いのだ。山下公園に行ったことはあっても、氷川丸に入ったことはない。そういう人って、多いのではないかと思う。

苔の島

Island

Photo: "Island" 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

写真を撮るにあたり、やはり「好物」というものがある。苔はかなりの好物であって、ついつい目が行ってしまう。

人混みで一杯の鎌倉から電車を一駅乗って、北鎌倉。駅の直ぐ横にある円覚寺はとても静かで、ゆっくり歩くのにいい。


境内のずっと奥、黄梅院の庭は僕的な好物にぴったりはまる「上等な」苔だらけ。中でも目を引いたのは、この無人島みたいな景色。苔の波間に、島と椰子の木。

そういえば、この円覚寺がイサム・ノグチの父、野口米次郎が滞在していた場所であることを、僕は最近になって知った。