オープンカーに乗ってみる

Photo: BMW Z3 2003. Okinawa, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "BMW Z3" 2003. Okinawa, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

沖縄に来ているにもかかわらず、太陽を見ていない。朝も早くから建物の中に軟禁されて、もくもくと作業、作業。息苦しくなってきた。 なので、「オープンカーでも借りるか」と決定した。

オープンカーって、意外と乗ったこと無いと思うのだが、どうだろうか。僕は、乗ったことが無かった。借りるにあたっては、妙に目立ったらどうしよう とか、少しは考えた。しかし、それは杞憂であった。背広姿で男二人がオープンカーに乗っている光景、それはどこから見ても「ディーラーの納車」なのだっ た。


それにしても、夏のオープンカーって暑い。レンタルした BMW Z3 Roadster は、至って現代的な車なので、エアコンはちゃんとしている。しかし、そうは言っても、南国の容赦ない日差しが腕を焼く。あっという間に、日焼けする。まっ たく、これは趣味の車。離れるときは、いちいち幌を閉じたりしないといけないし、荷物はほとんど入らないし、ホント面倒。


もちろん、風を感じて走る、という感覚は非常に気分が良くて独特のもの。それに、乗っている感覚が全然普通の車と違う。一言で言えば、「速く感じ る」。沖縄にも、ちゃんと高速道路があって、そこを走っているとスピードは全然出ていなくても、(助手席ですら)本気で怖い。Z3 は、風のコントロールがきちんとしていて、左右のウインドウを上げていれば、高速道路でも声を張り上げないで会話することだってできる。でも、風に曝され ながら走った後は、なんか妙に疲れる。バイクに乗る人が「疲れるぜ?」と言う感覚と、少し近いのかもしれない。これって、ちょっと大変な乗り物だ。でも、 それだけにオープンに乗る意味、っていうのは確固としたものがあるんだと思う。

いままでオープンカーを見ると、「まったく、気取りやがって」と思わないこともなかったが、今は違う。頑張ってるなぁ、偉いなぁと思う。

注1:夜は、上を見上げると星が見えちゃったりするので、カップルには良いかと思います。
注2:オープンカーは夏に乗るモノではない、というご指摘もありました。マイアミ・バイスとか、そういうステレオタイプ的な知識しか持っていないので、てっきり夏の乗り物かと思っていたのですが。

加速

Photo: 飛行機の窓 2003. Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "飛行機の窓" 2003. Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Boeing 747 の滑走距離は思ったよりも全然短くて、ふわっと飛び立った。

飛行機の力で世界はずっとはやくつながって、年老いる前に世界のいろんな所にいけるようになった。前はとても凄いことだと思った。でも今は、こんなものに乗らないといけない、人間の不自由さを感じる。


シートの前に入っている飛行機会社の読み物は、いつも面白い。写真も綺麗だし、なにより役に立つ内容がまるで無いのがいい。今月の skyward はチュニジア特集。メディナのタイル工芸とか、そんな記事。太陽の色が違うから、写真だって全然違う。こういう所で写真を撮りたいと思う。

かと思うと、ハワイのクア・アイナの創業者の話とかも載っている。厚切りのベーコンが入ったアボガドバーガーはおいしそう。そういえば、昼飯を食べていない。飛行機に間に合わなそうだったからだ。


機体はいつの間にか高層にたどりつき、雲はまったくなくなって、空は綺麗なツートンカラーになっている。機内ではいきなり、ビンゴゲームがはじまっ た。なんだそれ。ビーチで使える景品があたるらしい。生まれて初めての、高度 1万フィートのビンゴ大会。無論、全部はずれ。考えてみれば、このところ仕事でしか飛行機に乗っていないな。

空の色が濃くなって、しばらく忘れていた「南国の色がかかって」きた。一つ席が空いて、隣の女の人はずっと寝ている。ひどく疲れているようだ。

ぼそぼそと文章を書いたり、ためてしまったメールを読み返したりしていると、飛行機は高度をさげ、雲が近くなってきた。梅雨前線の影響で、今日は機 体が揺れそうだと言っていた。でもあまり揺れない。設計のマージンが大きいのか、あるいは電子制御が良く利いているのだろうか。


沖縄にいくのは、7年ぶり。何が変わっただろう、多分、僕の方がずっと変わったのじゃないかと思う。

機体が高度を下げ始め、少し海面が見えた。気圧の変化を感じたのか、どこかで子供が泣き出した。窓から見上げると、成層圏に向かう空は暗く夜の色だ。そして真ん中にやわらかい大気の水色、眼下には熱帯特有の沸きあがる積乱雲の頭が見える。

南に、来た。

タコライス

Photo: tako-rice 2003. Okinawa, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "tako-rice" 2003. Okinawa, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

海兵隊が駐屯する沖縄最大の基地、キャンプ・ハンセン。そのゲートがある沖縄本島中部の街、金武。

裏路地に漂う妙な緊張感、じゃれながら歩いている海兵隊員のでかさと目つき。日が陰り始め、あたりの雰囲気はやばめで、ちょっと観光という感じではない。

金武にあるタコライスの発祥と言われる店には、学生の時に行ったきりだ。あいまいな記憶と、ネットで調べただいたいの場所を手がかりにして、なんとか探し当てた。


店内はうす暗く、内装のスカスカ感が日本離れしている。所々破けたグレーのソファーの、うらびれかたが尋常ではない。英語の併記された(というか日本語の併記された)メニュー、ここは 8Mile?みたいな雰囲気が漂っている。

600円でチーズ野菜タコライス(みたいな名前のもの)を頼む。ドンと出てきた皿を見た瞬間、時間との勝負で食べなければ、満腹感に追いつかれて敗北することを知る。飯だけで、2、3合ありそうだ。そういえば、前に来た時は、3人で分けて食べたんじゃなかったか?

タコライスは、ご飯にタコスの具と、レタスと、チーズが乗っかっていて、混ぜて食べると美味しい。しかし、この場合、量が多くて混ぜるのは無理だっ た。口の中で混ぜろということか。ご飯は正しく熱々で(東京の沖縄料理屋では冷めたご飯で出される事が多い)、かき込んで食べる感じ。


山盛りかかっているチェダーチーズは、こってりしていてさすが本場の味。しかしよく見れば、「業務用チェダーチーズ雪印」の段ボール箱。高知の藁葺き屋根のうどん屋で、「やはり本場はうまい」と思った直後に「加ト吉の業務用冷凍ウドン」の段ボール箱を見つけたときと同じ衝撃。

味は悪くない、というか美味しい。一緒に出してくれるケチャップと、サルサをかけると更にぴりっとする。格闘すること数分、山盛りになった飯をようやく食べ終わりそう。自分史上、もっとも腹一杯。ん?

「なに?食べきれない分はもって帰れるの?」