プレゼンテーション

From the windowsill in Las Vegas

Photo: “From the windowsill in Las Vegas” 2015. Las Vegas, U.S., Apple iPhone 5S.

真っ昼間に一人部屋に戻って、夕方からのプレゼンの準備をしている。だだっぴろいスイートルームには、僕のリュックと小さなスーツケースが所在なく置いてある。無意味にでかいライティングデスクに PC を置いて、きっちり詰めた Power Point のファイルを再生する。

ホテルの中庭に面した大きな窓からは、プールが見えている。泳いでいる人は少なくて、たいていはのんびり日光浴をしている。多分、中庭には一度も行かずに終わるだろう。冷房で冷え切った室内に、分厚いガラスを通して僅かに砂漠の太陽の熱気が伝わってくる。


いつもはやらないが、今日ばかりは声に出して、実際に話してみる。僕は昔から、スクリプトを作る、ということはしない。その代わり、スライド毎に話すトピックが即イメージされるまで、各ページをしつこく眺める。

誰も座っていないソファーを観客にして、2回流す。時間はぴったりだ。あとは本番でどれだけ、余計なことを言わず、流れをシンプルに維持できるか。テンションを落とさないで、最後まで行けるか。

ステージに立ったときに、この準備の時間が自分を裏切らないことは分かっている。できることはやったのだから、のんびり本番を待てばいい。それでも、今日ばかりは時間がなかなか過ぎない。

すごくややこしい

Old town

Photo: “Old town” 2011. Seoul, South Korea, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

別に行くつもりは無かったのだが、博物館を出てうろうろしていたら、北村韓屋村に迷い込んでいた。

ドラマのロケで使われるような、張りぼての歴史建築が立ち並ぶ。正直、なんの感動も無い。資本の臭いだけがする。さっさと路地に入ろう。

張りぼての裏側には、普通に日常生活の世界がある。クリーニングを配達にいくオジサン。電信柱の林。和洋折衷というか韓洋折衷の80年代みたいな住宅デザイン。子供の頃の近所の町並みに、もう一度戻ったような、奇妙な懐かしさと違和感。


愛憎渦巻く韓国と日本文化との関係。初めて韓国に出張したときには、日本車そっくりの車が、ややノスタルジックな町並みに溢れるが、実は日本車はただの一台も居ないというシュールな光景が印象的だった。それでも近年は日本車も増えたと聞く。

日本マイナス20年みたいな、そういう感じが、やっぱりここには有った。凄く似ているけど、全然違う。決定的に違うけど、なんか似ている。すごくややこしい関係が、有る気がする。

蝶ふわり

Marble

Photo: “Marble on the marble” 2013. Agra, India, Apple iPhone 4S.

蝶ふわり

大理石の日だまりに蝶がふわり。