都内某所のクラブで、I.W.Harper の、やけに濃い水割りを飲んでいた。隣に座ったのは、ついこの間まで音響関係のアシスタント・ディレクタをしていたという 20代半ばの女の子。
「どんな音楽、聴くんですか?」
と訊かれて、とっさに
「あー、あゆ」と答えた。
「うげ、めちゃめちゃミーハーじゃないですか」
まあ、別に嘘じゃあない。僕は結構あゆの曲が好きだ。ちゃんと聴けば分かるけど、彼女の CD は、どの曲にもたっぷり金がかかっている。
聴かせるフレーズがふんだんに織り込まれ、キャッチーな音色を使って編曲され、ボーカルは芸術的に加工され、全て計算し尽くされている。しかも、 フィニッシュのマスタリングは、平均的で安っぽいオーディオで再生したときにフラットになるように、明らかに操作されている。いわゆる、いい音ではない が、売れる音なのだ。そういうのは、別に不愉快だとは思わない。
あるいは、彼女の歌詞を批判する人もいる。自分の事しか歌わない、身の回りのことしか歌わない、そんな批判だ。でも、久しぶりに歌詞を批判される歌手が出てきたこと自体が、僕には嬉しい。
そういうわけで、僕はあゆの曲が結構好きだ。それにしても、
「あゆだなんて、もろに世間に流されてません?」
「う、、うん(しまった、この子が元業界関係者だってことを忘れてたよ、、)」
注:別にあゆだけ聴いてる訳じゃないです。
注2:「あゆは歌が巧い」とは一言も言ってません。