Zeiss Ikon

Photo: zeissikon

Photo: zeissikon

Contax を生んだカメラメーカー、Zeiss Ikon がカメラの生産を中止したのは1972年。それから約30年、コシナの製造により 35mm レンジファインダーとして、Zeiss Ikon の名前が蘇った。

発表当初、「いったい幾らするのか?」と言われたボディは、発売されてみれば 15万円台という価格。(当初は、40万ぐらいするんじゃないか?と皆言っていた)特に、Contax のルーツとも言えるブラックペイントは、フィルムカメラ冬の時代にあっても、製造が追いつかずに入手困難だ。


デザインは直線を基調とした、Zeiss らしいすっきりしたもの。ライカのような威圧感はなく、かといって、没個性でもない、主張のあるデザインだ。Zeiss Ikon のロゴが正面に入っているが、普通の人はいったいどこのカメラなのか分からないだろう。ボディにコシナの名前は無く、左肩には Zeiss のロゴが付く。

ボディ色はシルバーとブラックが選べる。どちらも値段は同じで、両色共にペイントだ。自分的には黒しか無い気がしてブラックボディを選択。web ではただの色違いぐらいの印象だが、実機を見てみると、シルバーに比べて印象が引き締り一回り小さく感じる。(買ったときは品薄で、ブラックボディは実機 を見ないで予約注文した)表面処理はマット仕上げではなく、少しグロス気味。塗装はかなり厚めに塗ってあるように見えるが、web で言われているようなムラは気にならない。ボディ上の文字類は印刷ではなくて、刻印 + 塗装となっている。

ボディは見た目よりも軽いが、手に持った感触はかなりしっかりしている。このサイズのカメラを使うのは初めてだが、「撮る」という動作においては、大きからず小さからずの丁度良い大きさのように思う。

撮る前の準備として、フィルムの装填は少し慣れが必要。マニュアルの記述がいささか不親切。まず、フィルムのリーダー部分の先端を、巻き取りスプー ルの溝に噛ませるのだが、ここの図がいまいち分かりにくいように思う。最初、操作に少し迷った。(レンジファインダー慣れしている人には、当たり前なのか なぁ)


次に撮影に関する部分。ファインダーはとても明るく文句無い。レンズが 28mm だと、アイポイントがかなり低くなるが、それは一眼レフと比べるからだろう。(レンジファインダーって、そういう事は気にしないのか)シャッター音、感触 は思った以上に良い。ほれぼれするような類のものではなくて、抑えめでパタリ、という感じで切れる。価格を考えると、まずは良くできている、という印象。 ISO 設定、シャッター速度設定、AE 設定、露出補正のインターフェイスは直感的に1つのダイアルにまとめられていて BESSA と同じ。EV±2 の範囲で AE の目盛が切ってあり、それ以外がマニュアル設定のシャッター速度になっている。なお、露出補正は ZM レンズに合わせて 1/3 ステップに変更されている。

電子制御は AE 部分のみなので、シャッターチャージ、フィルム巻上げ、絞り、フォーカス、フィルム枚数カウント、ISO セット等は全て手動・機械式だ。デート写し込み、セルフタイマー、ストロボ、ブランケット撮影機能等はもちろん無い。ブライトフレームについては、レンズ の「つめ」を使って自動的に選択される。


幾らでも便利なカメラが売られている「今」になっては、この「機械」は、面倒は面倒な代物だが、自分で「撮っている」気がする。趣味的なカメラと言 えるが、この機械自身が持っているリズムのようなものは、確かに写真に違いとなって現れるようで、僕はそれが気に入っている。また、機械はレトロでアナク ロでも AE はかなり賢く、レンズは最新の T* コーティングレンズであり、性能は高い。クラシックなリズムを持ちながら性能は現代の水準。飾りではなくて道具として使えるカメラだ。

Zeiss Ikon (Black) が来た。

Photo: 街路 2005. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "zeissikon" 2006. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

CONTAX 販売完了以来、もうフィルムカメラを買うことはないだろうと思っていたのではあったが、また買ってしまった。しかも、時代に逆行するMF一眼レフから、さらに退行して手動巻の MF レンジファインダー。


とか書いてみたが、買えない売ってないという噂の zeiss ikon black を入手できて、実はかなり嬉しい。予約したのが一月の頭で、待つこと一ヶ月、思ったよりも早くやってきた。フィルムカメラからの撤退を表明するメーカーが増える昨今、デジカメでも、オートフォーカスでもない、アナクロカメラの zeiss ikon は生産が追いつかない状況なのである。いったいどれぐらいの生産能力があるのか知らないけれど、こういったものが欲しいという層は確かに居るようだ。

以下、zeiss ikonのユーザーレビューはまだあまり無いみたいなので、少し細かく書いていく。興味の無い人には、つらいと思いますけど、、。


買ったのは zeiss ikon のブラックペイント(シルバーもペイントなのだそうだが)、biogon T* 28/2.8 に、レンズシェードと、UVフ ィルタ。これに、zeiss 純正のレンズクリーニングキットをおまけで付けてくれた。普通に定価売りのところもあるが、横浜某所では「おおっ!」という値引きをしていただいた。なんかマニアックで怖そうな店構え(失礼!)だったのだが、値段もサービスも文句なし、感謝。

で、まだ撮影もなにも出来ていないので、(デジカメなら即レビューなんでしょうけど、そのアナクロ感が良いでしょ)写真以外の感想を書いておく。

まず箱。CONTAX T2 は宝石箱みたいな豪華なパッケージに入っていたが、それは遙か昔の事。化粧箱に発泡スチロールで、ごくごく簡素な普通のパッケージング。パッケージは白地に、zeiss のロゴが入ったもので、すっきりしている。本体にもレンズにも直筆の検査証が入ってきたのは感心した。

本体。シルバーに比べて、引き締まって一回り小さく感じる。自分の好みでは、やっぱり黒。実機を見ないで予約したが、やはり正解だった。表面はマット仕上げではなくて、少しグロス気味。いろいろなところで言われている、塗装のムラはあまり気にならない、というか何で文句が出るのかよく分からない。別に塗装で写真を撮る訳じゃないしね。ボディを手に持った感触はかなりしっかりしている。僕はこのサイズのカメラを使うのは初めてだが、「撮る」という動作においては、大きからず小さからずの丁度良い大きさのように思う。(それが、あえて、レンジファインダーを追加で買った理由でもある)あと、ボディ上の文字類は印刷じゃなくてちゃんと刻印+塗装。

次に撮影に関する部分。ファインダーはとても明るく文句無い。レンズが 28mm だと、アイポイントがかなり低くなるが、それは一眼レフと比べるからだろう。(レンジファインダーって、そういう事は気にしないのかな)シャッター音、感触は思った以上に良い。価格を考えると、ここは良くできている、という印象だ。ISO 設定、シャッター速度設定、AE 設定、露出補正のインターフェイスは直感的に1つのダイアルにまとめられていて BESSA と同じ。EV±2 の範囲で AE の目盛が切ってあり、それ以外がマニュアル設定のシャッター速度になっている。

結論として、ボディの定価153,000 をどう考えるかだが、個人的には十分リーズナブルな価格設定だと思う。見た目、ライカのような威圧感はなく、かといって、没個性でもない、主張のあるデザインだ。機能性は現代的であり、飾りではなくて道具として使える。


レンズ。これはまだ撮っていないので、なんとも評価しようがない。biogon T* 28/2.8 は標準のファインダーで使えて、大きさのバランスも本体と丁度良い。付けた感じは、一番見栄えがするレンズかもしれない。レンズシェードを付けると結構インパクトが出てしまうので、個人的にはあまり付けたくないか。(買ったのにね)なお、スペックシートに出ていなかったような気がするが、絞り羽は 10枚となっている。

最後に、匂い。(なんだそれ)明らかに、CONTAX と違う匂いがします。zeiss だけど、CONTAX とは違うカメラなんだなぁ、という気になります。

CONTAX i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5(39)

Photo: i4R

Photo: i4R

使ってみれば、コンパクトで画質も良く、デジカメっぽくないデザインがどこでも好評の名機。もう売ってないのが、惜しい。


京セラ CONTAX ブランド最後のデジタルカメラ CONTAX i4R

いらないよなぁ、、でも最後だからなぁ、、いらないよなぁ、、。と逡巡しながら、ヨドバシに向かう。既に、CONTAX ユーザーとおぼしきオヤジが展示コーナーの i4R に張り付いている。うーん、あなたもですか、、。皮肉なもので、終売の発表以来、売れ行きは良いようだ。

発売当時、その癖の強いデザインが気に入らなくて「誰が買うんだ誰が」と思っていたが、よくよく見てみると悪くない。むしろ、デジカメのデザインと して、ここまで思い切った商品は他になく、にわかに買う気になった。メルセデスが 4つ目になった時に感じた、嫌悪感に近い第一印象から慣れへの変化、それと似ている。


基本性能から。レンズは、Carl Zeiss Tessar T* F2.8/65mm。デジタルズームはあるものの、光学系が固定焦点なのは好感が持てる。特徴となっているレンズ&液晶バリア連動した電源スイッチの機構 は、思ったより使いやすい。デザインと機能を連携させるこの手のアイディアは好きだ。起動時間、撮影時の書きこみ速度なども満足のいくもの。AFは 9点のマルチ AF で、AE は評価測光まで出来る凝ったもの。特筆すべきはサイズで、大きく見える割に実は、Cyber-shot U40と比べて薄く、高さはほぼ同じ、幅がで 1cm 広いだけ、というコンパクトさ。これで、400万画素で、U40 と比べてもかなり見やすい液晶が付いている。Play モードは TVSD と同じでやたらにレスポンスが良い。バッテリーの持ちは良い。

良くないところ。クレードルが無いと USB 接続も、充電も出来ないのは不便。クレードルには D3 端子がお約束のようについているが、これって本当に必要だろうか。操作系では、レリーズに不満点が集中している。レリーズの位置が右に寄りすぎている。レ リーズボタンの左右に着いている突起は、ボタン位置を分かりやすくするためのものなのだろうが、これはボタン位置がきちんとしていればいらないのではない かと思う。押したときのクリック感も足りなくて、いつ撮れているのかよく分からない。


Photo: ピザ? 2005. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "ピザ?" 2005. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

画について。TVSD に比べると冷たいというか、淡泊な色乗り。ノイズや擬色は押さえられていて、今日的なデジカメのレベルになっている。コンパクト機であることを顧慮しなく ても、満足のいく画質。ただ、撮れ方にはやはりくせがあって、 TVSD とはまた違うのだが、いろいろな意味で個性的な画が撮れる。室内でノーフラッシュで撮ることが多いのだが、暗さに強いのは TVSD 譲り。(あれほど明るくは撮れないが)ホワイトバランスは、TVSDよりいい。変な話なのだが、シャッター速度が稼げず、適当に暈けた時の感じが妙に良 い。書きこみ速度は、特に連写モードを使ったときはもの凄く速くて、U40 より速い。

デジカメも価格競争になって、ハイエンド市場はブランド寡占の状態になりつつある。個性があって、マイナーで、しかも、高価なデジカメというのはも う作れないのかもしれない。その意味でも貴重なモデルだと思う。

i4Rの作例が沢山あるので、こちらのタグから併せてご覧下さい。