まず失敗しない、ぬか漬けの運用方法

Photo: “Cucumbers and turnip.”

Photo: “Cucumbers and turnip.” 2018. Tokyo, Japan, Apple iPhone 6S.

世界を悲劇が覆い、日常は一変。日本に生きる我々は、先祖から受け継いだ古き智慧を総動員して、今を生き延びるのだ。

第二次世界大戦を生き抜いた祖母曰く「お米があればなんとかなるのよー。」だそうなので、米を食べて乗り切りましょう。去年死にかけた時も、真っ先に与えられたのは米だった。米を食わしとけば、死なない。という主治医の強い意志を感じた。


と言うことで、米は大事だ。最低、これだけ食っていればなんとかなる。しかし、そこに漬物もあれば更に望ましい。今、売り場に時に不安定に並んでいる野菜の保存方法としても、好都合。漬物にいろいろ種類はあるが、家で出来る手軽で間違いが無くて保存が利く漬物。そう、いまこそぬか漬けを漬けよう。

と言うことで、家でできる失敗しないぬか漬け。

■材料
・塩(なんでもいい。瀬戸の海塩とかで良いんじゃないか)
・ぬか(なんでもいい。近所に米屋があって、糠を売ってたりするならなお良い)
・唐辛子(なんでもいい。国産の方が辛みがあって良いんじゃないか)
・湯冷まし(生水じゃないほうが、腐りにくい気がする、、だけだろう)
・野菜(定番のもの。きゅうり、茄子、大根、蕪、生姜、変わり種は使わないこと)

うん、材料は凄く普通で良いと思う。結局、ぬか漬けが失敗するのは、その作成に於いてでは無い。運用に失敗するのだ。カビが生えた、シンナーみたいな臭いになった、白い膜がはったなどなど、ぬか床が望ましくないコンディションになり、手に負えず、捨ててしまう。では、そうならないコツはなんなのか。


材料まで書いておいてなんなのだが、ここでいちいち手順を書くことはしない。他に幾らでも載っていると思うから。問題なのは、作成のプロセスではない、もちろん材料でも無い。ぬか床をどう「運用」するかだけが問題なのだ。10年になろうとする運用実績から導き出したポイントは、以下の3つ。これを守れば、運用の失敗はまず無い。年単位で美味しいぬか漬けが食べられる。

  1. 塩を入れろ
    ぬか床の作り方の記事を見ると、減塩だとか書いてあることがある。これは「漬物」だ。そして、ぬか漬けが保存食である理由は、乳酸発酵食品である前にまず、塩漬けであるからだ。ぬか床が腐った、という最大の理由は、塩が足りないのだ。塩を入れろ!

2.冷蔵庫に入れろ
現代の家は、本来ぬか漬けが何千年(?)も育まれてきた日本の伝統家屋とはほど遠い。風通しはほとんど無いし、縁の下もない。季節によって温度は変動しまくる。現代建築で温度が一定で、漬物の発酵に適した場所。条件的に冷蔵庫ぐらいしか無い。ここはシンプルにぬか床は冷蔵庫に入れて欲しい。何十年か昔ならいざ知らず、現代に於いてはぬか床は冷蔵庫に入れろ!それが新しいスタンダードだ。

3.手で混ぜるな
手作り、手のぬくもり、と言えば聞こえは良いが、ようは雑菌の塊だ。何年も運用して分かったのだが、ぬか床が腐るのは、結局雑菌のコントロールに失敗しているからであり、それは通気・温度・菌の供給の3要素が決め手になるが、そもそも栄養の塊のぬか床に菌だらけの手を突っ込むからダメなのだ。食品用ビニール手袋で混ぜろ。それだけだ。

この3つを守れば、1週間ぐらいまぜなくても、まったくどうと言うことはない。毎回野菜を板ずりなどしなくても、塩をちゃんと入れておけば塩味は付くし、薄い手袋1枚で撹拌時の手荒れもしないし、冷蔵庫に入っていたぬか床の冷たさも気にならない。

現代に蘇った、21世紀のぬか漬けメソッドで、是非ご家庭でぬか漬けを作成いただきたい。

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