何個買わせるつもりだ、ThinkPad ACアダプター

部屋のどこからか、低い「ピーーーーーーーーー」という音がする。1KHzよりも高い、こもったようなビープ音。

山のように繋がったコンセントを順番に外していっても、音が止まない。耳鳴りでもないこの音は何?とようやく行き当たったのが、ThinkPad の AC アダプタだ。昔のアダプタは、ショートすると火花が出るぐらいの勢いがあったのだが、最近のモデルでは、このビープ音が鳴るようになったようだ。とはいっても、マニュアルにも書いていないので、あくまで推測だが、同じ型番で同じビープ音を 2回経験しているので、だいたい間違いはないと思う。


さて、ThinkPad の AC アダプタは、ほぼ全て共通のアダプタが使える。僕が最初に買った、ThinkPad 240 から、現在使っている ThinkPad X32 まで、同じだ。(とても偉大な事だと思う)現行モデルは、ウルトラスリム 56W ACアダプターII(02K6881)で、手頃に一番速くある程度の値引きで入手したいのであれば、amazon で買える。

ThinkPad のトラックポイント用のキャップなども、実は 10個入りが売られていたりして、ThinkPad の純正サプライ品を買うには、amazon が良かったりする。今回は、予備も含めて2つ買ったのだが、一つはいつも通り amazon で、もう一つはlenovo のサイトで買ってみた。lenovo のサイトの売価は、amazon より高いのだが、週替わりぐらいでディスカウントをやっていて、たまたま電源系のサプライが安かったのだ。納期10日となっていたが、半分ぐらいの日数で到着。


大きな段ボールの中に、小さな段ボールを入れる「外資系梱包」でやってくる。そのへんは、IBMだなぁという感じ。ただ、今回のバージョンから、型番は同じだが IBM のロゴは消え、箱は lenovo に、アダプタ本体には ThinkPad の刻印のみになった。(2007年4月及び、5月製造)現時点では、lenovo ロゴは IBM ロゴの代替にはならないとの判断だと思うが、それは正しいと思う。

それにしても、ThinPad をずっと使っているせいだとは思うが、AC アダプタばっかり買っているような気がする、この数年で3個ぐらいは買ったな。だいたい、保証期限が切れてしばらくするとダメになる。使い方も悪いのかも知れないが、もう少しコネクタをしっかりさせて欲しいな。

ThinkPad X32を英語キーボードに換装する

Photo: 箸置 2006. Tokyo, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "08K5073" 2006. Tokyo, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

打鍵は強い方で、しかもかなりの量をタイプするので、結構直ぐにキーボードがへたってしまう。去年購入したThinkPad X32も一年を待たずして、「O」のキーが妙な音を立てるようになった。1年以内なので、保証でカバーされるかもしれないのだが、未だ明確にキーが破損しているわけでもなく、(おそらくは予防交換の範囲)、修理に出している間、使えないのも困ってしまうので、自分で直すことにした。それも、ただ交換するのではメリットが無いので、英語キーボード(101キーボード)に換装することにした。


キーボードに拘るユーザーが多いThinkPadだけあって、キーボード単体のパーツを売っている店はネットだけでも数店見つけることができるのだが、どこも1万円以上。他に入手するルートは無いかと調べてみると、Lenovo(IBM)のパーツセンタで一般向けに部品の単体売りをしてくれるらしい。それも、裏技とかいうのではなくて、きちんとWebに一般向けの窓口電話番号が記載されていた。

保守部品の購入について – ThinkPad(2010年9月現在、連絡先を明示したページは削除されているようだ。ただし、同じ電話番号と同じ手順でパーツの販売はされている。詳しくは、[ThinkPad Love – ThinkPadの補修用パーツの入手方法と部品情報]を参照。)

さて、用意するのは、自分のマシンの機種名。7桁(xxxx-xxx)のIBM製品番号がそれだ。本体の裏面に書いてある。それから、そのマシンに適合するキーボードの部品番号も調べておく。僕の場合は、本体が2672-M8Jで、適合する英語キーボードが08K5073となる。これは、X31及びX32で共通の部品のようだ。(2672-M8Jに08K5073を自分で付けるのは、恐らく保証外になります。自分の責任で注文・作業して下さい。IBM/Lenovoにサポートを要求したりしないで下さい。)

次に、パーツセンタに電話をかける。(コールセンタではないので、トラブル相談とかをしないように、、)部品購入の意図を伝え、当該機種の製品番号と、希望の部品番号を伝えると、価格、在庫、納期などを教えてくれる。こちらの氏名、住所、FAX番号を伝えると、購入申込書がFAXされてくる。(FAXが無い場合には郵送となる)
部品代と送料を併せた請求金額を振り込み(三菱UFJ信託銀行)、振り込み伝票のコピーと、必要事項を記載した購入申込書をFAXで送り返すと、部品を発送してもらえる。

今回は08K5073が1点で税抜き6,610円、送料1,000円、税込みの請求額は7,990円だった。バルク品よりもずいぶんと安い。マージンをほとんど乗せない価格で提供して貰えるのは大変助かる。なお、パーツセンタはIBMがオペレーションしているようで、Lenovoではなくて、IBMの対応だった。日本国内にもかかわらず、きちんと、英語配列のキーボードがストックされていることにも感心する。


申し込んで3日程で(在庫状況に依存するが、今回は在庫があった)えらく大きな段ボールに入って、パーツが送られてくる。中身は、段ボールの中にまた段ボールが入っていて(ここらへんは、外資系だなぁと思う)、その中にキーボード本体と取り付け用のネジが4本。交換用のマニュアル等は入っていない。
作業に必要なのは、精密ドライバのみ。IBMのサイト(Lenovoではなくて、IBMのドメインになってる)からキーボード交換手順のサービスマニュアルを参照しつつ、作業する。マニュアルは、ネジのトルクまで記載されていて、きちんとしている。
キーボードの取り外しと取り付け – ThinkPad X30/X31/X32
作業は、ACアダプタを外し、バッテリもはずすところから行う。次に、裏面のキーボードの印がついているネジ4つを取り外す。そうすると、もうキーボードは外せるようになっている。少し手前を持ち上げるようにすると、簡単に外れる。マザーボードと接続されているリボンケーブルをコネクタを壊さないように、丁寧にはずす。古いキーボードが外れたら、あとは新しいものを逆の手順で取り付けるだけだ。作業は丁寧にやって、実測4分。とてもメインテナンス性の高い設計になっていると感じた。特に、ボディーを貫いて、4点のネジで支持されているキーボードの設計に感心する。高い剛性感が生まれる大きな要因だと言えるだろう。

部品の入れ替えが完了したら、OSのドライバを英語キーボードのものに入れ替える必要がある。(もしくは、キーマップを修正する)Windows XPの場合は、キーボードのドライバを「101/102 英語キーボードまたは Microsoft Natural PS/2 キーボード」に変更すれば、再起動後認識される。なお、ドライバを入れ替える際に、マウスのドライバも置き換わる旨警告が出るが、そのままOKして進めて問題ないようだ。
実際に英語キーボードにしてみると、キーの配置に余裕があって使いやすい。特に、個人的には絶対使わない最下段の日本語関連キーが無いのは、誤押下(変な日本語、、)が無くなって助かる。また、アルファベットのみのキートップの方が、見た目の印象も精悍で良いように思う。在庫等の関係で、コンシューマ向けでの実現は難しいのかもしれないが、英語キーボードバージョンを標準で用意してもらえると嬉しいと思う。(昔から言われていることですけどね、、)

※パーツセンタから買えるのは保守部品です。自分の機器の修理以外の目的で購入しないようにしましょう。
※X32に101キーボードを取り付けることは、設計上は問題ないと思いますが(日本国外ではその構成で売られているので)、国内モデルとしては保証の範囲外になると思われます。この文章で示した情報は、ご自分の責任の範囲内でご利用下さい。

10周年記念モデル ThinkPad X30 10th Anniversary Limited Edition

Photo: 考える箱の箱 2002. Tokyo, Japan, Canon Power Shot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

Photo: "考える箱の箱" 2002. Tokyo, Japan, Canon Power Shot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

そして、IBM ThinkPad X30 10th Anniversary Limited Edition がやってきた。

そりゃ、275,000円は高い、高すぎる。それは、よく分かっている。こういうアホなものを買うのは日本人だけだということもよく分かっている。

でも、まあ、せっかくですから。


この長い名前の TP(ThinkPad) について簡単に説明すると、これは IBM が世に初めて TP を送り出してから 10年目を記念しての 2002台限定モデル。ベースになっているのは、日本未発売のミドルレンジ B5 サブノート X30 で、これに(色々な意味で有名な)ミラージュブラックの特別塗装が施される。さらに、この国内限定版 X30 の最終組み立ては、日本で行われる。

実は、使ってみた感想というのは、あんまりない。いつもの TP。OS をセットアップして、いつも使っているソフトウェアをインストールし、昨日までのデータと設定を移行すれば、何の違和感もなく使い始めることができる。

いつものことだが、キーボードは素晴らしい。妙な言い方だが打てば打つほど楽しくなってくる感じがする。キーストロークが深く、剛性感も高い。このあたりは、TP の独壇場であって、いつもの TP という期待を裏切らない。

S30 や X20 系では、いまいちスムーズさに欠けていたデザインが見直され、綺麗なスクウェアデザインになっている。ラップトップという言い方は、使われなくなって久し いが、この TP は発熱が少なく、文字通り膝の上でつかってもあまり熱くない。電力消費と放熱のマネジメントがしっかりしているという印象を受ける。


磨くことに疲れた。人生の意味を考えた。故郷の親を思い出した。など、さまざまな意見を聞く、特別塗装ミラージュブラックだが、これは確かに手入れ が大変。ピアノと同じ鏡面仕上げの表面を綺麗に維持するというのは、まあ、無理。それに、ノートPC を開いて使っていると、実は塗装面はまるで目に入らない。しかし、その手触りはすごい。モニタの角度を変える、掴む、持ち運ぶ、そういう状況での手触りの 良さ。道具としての質感の高さで、全体的な印象はかなり高い。

もちろんその他にも、いろいろと細かい改良が加えられている。少し前の TP は、開けるときに両手を使う必要があった。TP は、開ける際に 2箇所のロックを外す必要がある。以前は、この 2つのロックを同時に引きながら開ける必要があったのだ。これでは、片手がふさがっている、あるいは不自由な場合に開けることができない。X30(もっと 前のモデルからそうなっているのかもしれないが)では、ロックを片方ずつ外して、片手で開けることができる。


膝に乗せた時の剛性感、手に持ったときのウエイトバランス、各種コネクタ類の組み付け精度の高さ。店頭でちょっと触ったぐらいでは、このような感覚 的なものまでチェックすることは、なかなか難しい。ノートPC は道具であり、体験である。重要なのは、このようなカタログには現れないモノとしての誠実さだ。見えにくいところできちんとコストがかかっている。そうい うものを選ぶことができる自分でありたいと思う。

それに、まあ、せっかくですから。


注1:US の shop ibm 価格で X30 の英語版同型モデルが $2,569(通常塗装)で 31万円ぐらいなので、実は高いというわけではないのだが、、。
注2:ミラージュブラックの TP は、写真にあるようなおめでたい紅白パッケージに入ってやってくる。写真からシリアル番号は消してあります。