鉄壁の旨さ、テキサス・ダブル・ワッパー

Texas double whopper

Photo: “Texas double whopper ” 2011. TX, U.S., Apple iPhone 4S, F2.4/35

時間があまりないので、ここはファーストフードで良いよね、という話になった。そういえば、アメリカ恒例のバーガーキング詣でをしていないではないか。

昼下がりの妙な時間だったので、ガラガラのバーガーキングに入る。
カウンターの、ヒスパニックの店員の言っている事が、耳慣れないイントネーションで全く聞き取れない。散々言い直して貰って、店内で食べるのか、店外で食べるのか、やっとそういう事だと分かる。多くのアメリカ人の良いところは、聞き直せば何度でも繰り返してくれる事。ちょっと聞き取れるようになってきたな、と思ったらこの態だ。


注文したのは、テキサス・ダブル・ワッパー。でかいワッパーに、ベーコンとチーズと、そしてハラペーニョが入っている。ハラペーニョの量は結構多め、アメリカ的ベーコンのサクサク感。 調べてみると、ケチャップじゃなくてマスタードが入っているようだ。日本でも売って欲しいぐらい、大人味で美味しい。残念ながら、テキサス州専用メニュー。

さっき僕のオーダーをとった店員の女の子が、フロアを掃除している。褐色の肌に、真っ白い目、僕よりもずっと小柄だが、エネルギー感というかそういうのが全然違う。ティーンネイジャーのバイトだろう、こんなクソ仕事はうんざりよ、という感じが漂っているが、それでもなんかエネルギッシュだ。


お昼をだいぶ過ぎたところで、店内の人影はまばら。たまに、平日の昼間にファーストフードなどに行くと、知られざる子連れ母さんワールドみたいなものが展開されていて驚くが、ここでも事態は同じだ。少し離れたテーブルで、やはりヒスパニックのお母さんが、子供二人を連れて、遅い昼食(朝飯かもしれないが)をとっている。テキサスの人々の体型はおよそスリムでは無い。

デブを見慣れるというか、普通の体型の人を見ると、痩せてるなぁという感じさえする。このお母さんも例外では無い。ただ、子供は普通の体格で、もの凄い勢いで歩き回ったり(這い回ったり)している。いったい、どのタイミングから、「あの体型」になってしまうのだろうか。


見ていると、店内で食べるよりも、ドライブスルーのお客が圧倒的に多い。ひっきりなしに、車が出入りしている。時間通りに食べるとか、そういう概念はあんまり無いのかもしれない。店に一見無駄なくらいクルーが沢山いるのは、実はドライブスルーの注文をさばくため、のようだ。

冷房がやたら効いていて、ドライブスルーにひっきりなしに車がやってきて、子供が遊び回っている。うんざりするくらいの日常感。アメリカの午後。

ワン。

Gentle eyes

Photo: "Gentle eyes" 2011. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S, F2.4/35

鮨屋。店の奥から気配がして、振り向いたら戸の影から顔を出していたよ。

「もう、18歳なんですよ。家に置いといたら、何あるか分かんないから、ここにね」

人間で言えば、もうご長寿と言われて久しい年齢。でも、毛並みはサラサラと見事で、目は澄んでいた。


僕は食べ物屋に動物が居る事には否定的だけれど、このご長寿の子を手近でみていたい気持ちはよく分かって、悪い気はしなかった。

首を撫でる。ワン、とも鳴かない。優しい目で、見返している。とても賢くて、優しいのだと言う事が、手に伝わる重みで分かる。そういえば、何年も前に、店の大将の家で君に会った気がするな。

帰り際、戸の影から小さく「ワン」と鳴いた。長生きしろよ。

Houston, we have a problem.

Houston, we have a problem

Photo: "Houston, we have a problem" 2011. TX, U.S., Apple iPhone 4S, F2.4/35

ヒューストン、早朝。風呂の中。
晩飯がビール三本と、タコス二つでは、腹が減って目が覚める。


時差ぼけは乗り切ったようだ。同じようなホテルでも、色んな空気がある。今回泊まっている部屋には、なんとなく親密さを感じる、良い部屋な気がする。別に上等な部屋ではない。1階の駐車場に面した窓から差し込む西日が、子供の頃に住んでいた家を思い出させるからだろうか。


初めての土地の、初めてのオフィス、初めての人々に出会う。初日は、パーティションのどっちに歩けば良いのかも分からない。でも、飛び込んでみれば、確実に慣れつつある気はする。出来ることは、少しづつ増える。

いろんな国の、いろんなベッドで眠る。
そうして、朝が来て、腹が減る。