港に通じる道の、その脇に鳥居がある。鳥居から続く、息が切れるような階段を上ると、神社の境内の前に小さな公園がある。そこには、錆びたブランコがあって、突堤の先まで見渡すことができる。
よくこんなロケ地を見つけたなぁ、というのが偽らざる感想だった。
僕はそのドラマを見たことが無いのだけれど、その景色に物語を付けるのは、もはや容易いことのように錯覚された。
写真と紀行文
港に通じる道の、その脇に鳥居がある。鳥居から続く、息が切れるような階段を上ると、神社の境内の前に小さな公園がある。そこには、錆びたブランコがあって、突堤の先まで見渡すことができる。
よくこんなロケ地を見つけたなぁ、というのが偽らざる感想だった。
僕はそのドラマを見たことが無いのだけれど、その景色に物語を付けるのは、もはや容易いことのように錯覚された。
「世界の中心で、愛を叫ぶ」をもちろん僕は見ていない。しかし、そのロケ地に来てしまった。(そんなのばっかり)
地元では、当初撮影が終わると、セットも何もさっさと壊してしまったそうだが、暫くして観光客が引きも切らずに訪れるようになると、遅まきながら「なにやら観光資源になるらしい」と気がついたという。
今では、一部のロケセットは再建され、ロケ地の名所には案内板が付けられ、市役所の入り口にはロケ地マップが置かれている。とは言っても、ここは至って普通の地方の漁村。ぐるぐる迷いながら、なんとかロケ地の「突堤」にたどり着いた。突堤マニアとしては、ここは外せない。
さて、この突堤はかなり良い、相当良い。長くて、真っ直ぐで、シンプルだ。文句のない、突堤だ。
狭い幅の割に、長く突き出た突堤を、どんどん歩く。気の抜けたような、瀬戸の内海が、ただ広がって、波はろくに打ち寄せもしない。自主制作の映画のロケハンだろうか、大学生風の二人組が、デジカメを手にしながらフレーミングをあれこれ試している。
ジリジリと暑い。僕はいつもやるように、突堤に腰をおろしたりはせず、そのまま元来た道を戻った。